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『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。
第15回目も『腐食』についてのお話です。
建築物の置かれている環境の空気汚染度・水分・塩分などにより、下表のように分類されます。
建築物に用いられている鋼材の腐食は、海洋構造物・煙突・煙道・ボイラーなど特殊な場合を除けば大気腐食の範疇に入ります。
屋外に暴露された構造材および外装材として用いられた鋼材は、日照・水蒸気・雨露・雪・霜など一般的な気候要素のほかに、ばい煙・粉塵・海塩粒子・工場および自動車による排気ガスなどに晒されています。
これらはいずれも腐食原因または腐食促進要素であって、この要素の多少によって腐食量が異なります。
以上を踏まえ、上記のような分類を行っている訳ですが、温泉地域などはこの分類に入っていません。
あくまでも建築物の立地条件を配慮した防錆計画を立てる必要があります。
建築物の屋内にある鋼材の腐食は、屋外大気の影響も関係してきますが、建築物の用途・室内温度・湿度・建築物を構成する部材の位置などに関連して、腐食の発生や腐食量が異なってきます。
建築物の用途が住宅・学校・事務所・体育館などであれば問題は少ないですが、工場の種類によっては腐食要因となる物質が排出され、また室内プール・アイススケート場であれば、室内空気に微量ながら塩素ガス・アンモニアが含まれる事になり腐食要因が発生します。鋼材表面に生じた結露が更に腐食を進める事もあります。
室内で最も注意しなければならないのは、鋼材表面への水分の吸着です。
鋼材は熱伝導度がよく、かつ吸着しないため鋼材表面で結露しやすいのが特徴です。
空調設備があれば問題になりませんが、空調の無い場合には室内温度・湿度と鋼材表面温度との間で露点温度にならない配慮が必要になります。また鋼材相互の接合部などでは、露出されている表面よりも結露しやすくなっています。
構造材は、その架構形式により垂直・水平・斜めに配置されます。この状態によって、粉塵・ばい煙・海心粒子などの腐食有害成分の堆積量が異なるばかりでなく、結露水の滞留時間にも関わってきます。
同一建物で屋外・屋内の構造材について腐食量を調査した結果は下表のようになっています。
腐食診断した結果の記録は、鋼材表面のサビの状態で表現します。サビの状態はサビの性格とサビの分布状況の二つの要素によって現されるのが普通です。
サビの性格としては、全面腐食と局部腐食の2つがあります。
全面腐食とは、2通りの意味に使い分けられています。1つは全面に渡って任意の腐食が認められるという腐食の分布状態を指す言葉であり、もう1つは全面に渡ってほとんど同一の速度で腐食する均一腐食を指します。
局部腐食とは孤立局所的に発生しているサビを言い、孔食・隙間腐食・サビコブ腐食・塗膜下腐食・糸状腐食(塗膜下に発生する糸状のサビ)・粒界腐食などがあり、腐食の性格別に分類されています。
診断時の腐食状況の記録は、腐食性格別ではなく腐食の分布状況で示すのが好ましいとされています。
例えば、腐食の発生している位置・数・状況などで説明します。局部腐食については、一般の腐食と比べてサビの程度が激しいので見分けがつきますが、分類が困難なので腐食名称はともかくとして腐食状況が上記の記録に併記出来れば良いとされています。
今回はここまでとします。
次回は『防腐・防蟻処理及び耐久性』についてのお話をさせていただきます。
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