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木材に関する、どうでも良い話です。
時間に余裕のある方、どうぞお楽しみください。
一本の原木を1匹100キロの『マグロ』で価格1万円と仮定してみよう。
我々日本人は、ここからまず『トロ』を採る。
トロが全体の1/10すなわち10キロ採れたとすれば、その価格は1キロ100円が妥当であるのに、トロは特に珍味で得難いから1キロ500円にもなる。
とすれば残りの90キロは5000円(10000円-10キロ×500円=5000円)で、1キロ当たり55円が妥当価格になる。でも、トロが1キロ500円もするのだから残りの身も1キロ200~300円で売るべきだという考え方になる。
1匹1万円のマグロがいつの間にか2.3~3.2万円になってしまう。
一般的な外人はマグロからトロは採らない。これはトロを食べる習慣の有無ではなく、トロもその他の部分も共に同一栄養価のあるマグロの身だからという考え方からである。
彼らはトロを採る代わりに90パーセント以上の身を例えばツナ缶にしてしまい、その価格は1キロ110円となる。
マグロ=トロ論、すなわち多くの樹種の中でも視覚的に優れたもののみを望み、一本の原木の中から外観的に珍重な部分だけを採ろうとする傾向が木材を高価にしている理由のひとつでもある。
1つの座敷の天井板を同じ杢理で揃える。
床の間一式を同一材で揃える。
一軒の家を全部ヒノキで揃える。
1つの部屋をチークでまとめる。
3点セットのタンスを同一杢で揃える。
揃え好きの日本人の特徴である。(最近の一般的日本人には少ないと思います・・・。)
しかし、木材は元々天然性の多孔質かつ不均質のもので、同種の樹といってもそれぞれが異なり、全く同じものが2つとはあり得ないものにも拘わらず、これを同じ杢理・色沢に揃えるという事は『ないものねだり』と言わなければならない。これを無視して揃えようとするから非常に高価なものとなる。
日本の製材だけが持つ『墨かけ』という技術も、この揃った木材を採るためのものだと言っていい。
銘木という語は本来、珍木・奇木という意味であるが、日本の木材業界あるいは日本人の木材観の中には揃ったものこそが銘木という考え方がある。
外国には銘木という考え方も、その語も無いという事と考え合わせたら日本人の木材観の異常さと、日本における特に木材の高価な理由がわかるというものである。
木は木であれば良く、節はダメとか、杢目が良くないとかと云う発想は持たない方が良いという事のようです。
綺麗な木目は欲しいけれど、値段が高くなるからシート貼りでいいや。という発想もこんなところから来ています。
表面にシートを貼ってしまったら、木の持つたくさんの良いところが台無しになってしまいます。
日本の山にある木は、使わなければどんどんダメになってしまいます。
需要がなければ、山を適切に維持・管理する事も出来ません。
木に囲まれ、木に育まれてきた我が国だからこそ、木のぬくもりを再認識する時期に来ていると思いませんか?
日本工業新聞社 刊
新装 日本の木・世界の木/木材利用の今・昔
成田寿一郎 著
の一部をご紹介しました。
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