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『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。
第16回目も『防腐・防蟻処理及び耐久性』についてのお話です。
木材の防腐・防蟻処理は、処理の方法により表面処理と加圧注入処理とに大別されます。
それぞれの方法に適した防腐・防蟻薬剤があり、用途及び仕様に応じて使い分ける事になります。
表面処理用薬剤は、塗布・吹付・浸漬及び穿孔注入用があり工場で用いられる場合と建築現場で用いられる場合があります。いずれの処理方法も施工が簡単で、希望する特定の箇所のみを処理する事が出来ます。
しかし薬剤の浸漬層が浅く、防腐・防蟻処理のポイントをよく熟知していなければ効果的な処理は出来ません。
表面処理用薬剤は、主として油剤で防腐剤と防蟻剤が溶剤の中に含まれています。
まれに乳剤もあり、油剤と同様に防腐剤と防蟻剤が含まれています。
防蟻剤はシロアリ・キクイムシなどに有効で、防腐剤は腐朽菌に有効です。
代表的な防蟻としては有機リン系・合成ピレスロイド系・カーバメイト系などがあり、防腐剤はナフテン酸金属塩系が多くなっています。
下表にその例を示します。
加圧注入処理用薬剤は、専用の注薬缶に木材などを入れ加圧注入するための薬剤です。
注薬缶は製材工場などに隣接して設置されている場合と、注入処理専門工場に設置されている場合があります。
加圧注入処理用薬剤は、加圧・減圧の組合せで表面処理の場合よりも深い薬剤浸漬層を得られますが、水溶性の薬剤の場合には材料が膨潤して寸法変化や変形を起こしたり、乾燥日数がかかります。
加圧注入処理後に切断・穴明けなどの加工をした場合は、表面処理用薬剤を入念に塗布する必要があります。
加圧注入処理用薬剤は表面処理用薬剤と異なり、水溶性や乳化性の薬剤が多くなっています。
上表にJIS K 1570(木材防腐剤)に規定する薬剤及び、下表に(社)日本木材保存協会の認定薬剤を示します。
表面処理方法は、木材の表面・木口又は穿孔・切断・切削などの加工面に対して、塗布・吹付・浸漬などの方法によって薬剤を処理する方法であり、加圧注入処理方法は減圧・加圧などの圧力差を用いて木材中に薬剤を浸透させる方法です。両者の特徴を示すと下表のようになります。
処理量については、表面処理方法にあっては木材表面積1平方メートルにつき300ミリリットルの塗布量が標準となっています。従って、乾燥時間を置いた塗り重ねが必要となります。
加圧注入法にあっては処理量ではなく、木材中への薬剤吸収量及び侵潤長がJISに定められています。
上記のような処理量及び浸潤長を得る為の注入処理法はJIS A 900Z(木材の加圧式防腐処理方法)に規定されていて、下表のようになっています。
3つの方法中、通常はベセル法が用いられ他の2方法はほとんど使用されていません。
今回はここまでとします。
次回は『構造用集成材の防腐・防蟻処理』についてのお話をさせていただきます。
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