木材の敵18

 

『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。

第18回目は『各種薬剤の耐久性』についてのお話です。

挽板処理による集成材では、接着力に悪影響を与える薬剤は使用出来ません。

これらの基準で選択された薬剤は、ナフテン酸銅・ナフテン酸亜鉛・アルキルアンモニウム化合物・銅+アルキルアンモニウム化合物及び銅+ホウ酸+アゾールの5種類です。

これら比較的新しい薬剤については長時間の耐久性の試験結果が乏しいのですが、以下に室内試験の結果と野外杭試験の結果を分けて紹介します。

加圧注入用の薬剤をJIS A 9302(木材防腐剤の防腐効力試験方法)に準じて試験した時の各薬剤の防腐効力試験結果を以下に示します。

また、森林総合研究所の杭試験の結果から防腐効果の持続性の目安が推定されていますので、その推定耐用年数を以下に示します。

森林総合研究所では、木材防腐剤の耐久性をスギ辺材を用いた野外杭試験で評価しています。

公表された結果の一部を以下に示しました。

また、同研究所で行われたAAC系薬剤で処理したラジアタパインの辺材杭(2×2×50センチ)の野外杭試験の結果を以下に示します。

野外で使用する製材品や集成材は時間の経過によって割れが発生します。

この割れがこれら木製品の耐久性に大きな影響を与える事が知られていて、使用時における割れの発生の低減策を講じる事により、耐久性が大幅に伸びる事も確認されています。

例えば防腐・防蟻処理製材の場合では、薬剤の大部分は材表面から一定の部分に浸潤しています。

従って、割れにより薬剤の未浸潤部分が露出する事による内部腐朽の危険性は否定出来ません。

これに対して、挽板処理により製造した集成材の場合には、薬剤の浸潤度が切断面の60パーセント以上であり、しかも何枚かの挽板から構成される為、製材品に比べ大きな割れの発生も抑えられる事が知られています。

使用時における割れの発生が少なく、しかも薬剤の浸潤度が高い防腐・防蟻処理集成材の方が防腐・防蟻処理製材よりも信頼性の高い材料と言えます。

参考までに集成材と製材品の屋外暴露による割れの発生状況の比較を以下に示しました。

 

以上で、このシリーズも終了です。

私自身、ご紹介しながら色々と再認識する事が出来ました。

このシリーズは、

林野庁 監修

(財)日本住宅・木材技術センター 刊

大規模木造住宅建築物の保守管理マニュアル

から引用させていただきました

  

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  posted by HoppyRed

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