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何回かに分けて、換気についての基本的なお話しをご紹介したいと思います。
まず第1回目は『室内空気の問題とは』からスタートです。
人間が健康に暮らす為には、室内の空気がきれいである必要があります。
換気は居住者にとって害を及ぼす様々な有害汚染物質を屋外に排出する為に必要です。
あるいは新鮮な外気を室内に必要な分だけ導入して、揮発性有機化合物(VOC)の室内濃度を低下させるためにも必要です。
居住者の健康を守る為に室内空気を新鮮できれいに保つ事は不可欠ですが、冬の窓開け換気は暖房費の増大を招くだけでなく寒くて不快の原因になります。
省エネルギー性や室内の温熱快適性が高い『高気密住宅』は不用意な換気量が無い計画換気が必要になります。
汚染物質の発生源としては、人体・設備機器・建材等があります。
呼吸に拠る二酸化炭素・水蒸気や、入浴や炊事の時の水蒸気・煙等々生活する上で様々な汚染物質が発生します。
特に開放型の燃焼機器、すなわちストーブやファンヒーターと呼ばれるものは、室内での移動が容易であり、ホームセンターや家電量販店で安価に購入でき、施工の手間も不要な事から温暖地において使用されています。
しかし、二酸化炭素や一酸化炭素・窒素酸化物・硫黄酸化物等の有害物質や水蒸気が大量に発生しますから、高気密住宅の暖房・給湯設備としては居住者の健康や結露防止の観点から絶対に使用してはいけません。
従来のこのような汚染源に加え、化学建材の使用増加に伴う建材・家具・塗料・接着剤からのVOCと呼ばれる有害化学物質の発生が、社会問題になっています。
居住者がこれらによる健康被害を訴える『シックハウス症候群』に対し、厚労省ではホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン・パラジクロロベンゼン等の健康影響の疑いがある13物質について濃度指針値を示しています。
住宅性能表示制度の濃度等の測定物質としては、ホルムアルデヒド0.08ppm・トルエン0.07ppm・キシレン0.2ppm・エチルベンゼン0.88ppm・スチレン0.05ppmと室内濃度指針値が示されています。
それぞれの空気汚染物質の人体に対する健康影響としては、ホルムアルデヒドの場合は喉・鼻・目への刺激及び炎症が起こり得る他、発癌性が疑われる物質の一つとされています。
又トルエン及びキシレンは、倦怠感や知覚異常・嘔吐・喉や鼻及び目への刺激等を引き起こすとされています。
ダニはその死骸や糞が、気管支喘息や蕁麻疹・アトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患の原因となり、カビは同じく気管支喘息や鼻炎の原因になります。
換気の対象となる物質として、室内で発生する過度の水蒸気があげられます。
これは直接的に健康被害を及ぼしませんが、結露の危険性を増し、ひいてはカビやダニの発生・内装等の汚損・構造材の腐朽等を引き起こす危険が高まります。
今回はここまでとします。
次回は『汚染空気の発生源対策と換気対策』となります。
幻冬舎ルネッサンス 刊/北村忠男 著/高気密木造住宅をもっと知ろうから抜粋させていただいています。
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