人と住まいを守るために必要なもの2

換気についての基本的なお話しをご紹介しています。

第2回目は『汚染空気の発生源対策と換気対策』というお話しです。

健康被害を受けない汚染空気対策として計画換気は有効な手段ではありますが、汚染物質の発生量が多ければ建築基準法で定められている0.5回/時間以上の換気量では全く不足してしまいます。

快適で省エネな気密化住宅では、汚染物質の発生が少ない建材や家具・設備機器を選択しなければなりません。

建築基準法では、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの使用が制限されています。

化学物質は多くの種類があるので全てについて検出して、健康被害が無いかを評価する事は困難ですが、出来るだけ発生が少ない自然素材を材料として選ぶ事が望ましいのです。

せっかく汚染物質の少ない自然素材を選んでも、実際に現場で使用されたものが誤って使われていれば問題になる事もあります。

万一問題が生じてもすぐに原因を究明する為にも使用建材について、何をどこにどれだけ使用したかを図面の中に正確に記録しておく事が重要です。

暖房機器は室内空気を汚さないものを選ぶ事を忘れないでください。

空気は目に見えない為、どれだけ汚れているのかわかりません。

生活上やむを得ない汚染物質がどれだけ発生しているのかを予測する事は困難です。

大事なことは、最低限必要な換気量は保守・点検・清掃・故障中以外の時間(24時間×365日)連続運転しなければならないという事です。

高気密住宅で機械換気装置を24時間連続運転しなければ、ただのアクセサリーに過ぎません。換気装置は止めない事はもちろんですが、給気口や排気口を家具やモノなどで塞がないようにする事も重要です。

換気装置を連続運転する為には、設計段階における以下の点の確認が重要になります。

1.騒音が少なく静かである事。

2.消費電力が少なく省エネである事。

3.メンテナンスが容易でありそれに掛かる費用が少ない事。

換気装置の運転音が煩いとか、電気代が勿体ない等の理由で連続運転しないなんて事がないように充分気をつけましょう。

せっかく静かで消費電力の少ない換気装置を採用しても、換気設計の不良や施工不良により適切な換気がされていないケースもあります。

換気設計及び施工は建築元請け側の責任となります。

計画通りの換気風量が確保されているかどうかは、換気風量測定をすれば確認する事が出来ます。

施工業者に依頼し、換気風量測定の結果報告してもらう事をお勧めします。

又換気装置が1階天井懐に設置されている場合には、点検口の設置がないと換気装置のメンテナンスが出来ません。維持管理が出来ない換気装置は問題が生じた時に修復する事が出来ませんから、維持管理がしやすい換気設計を心掛ける必要があります。

揮発性有機化合物は、一般に新築後に室内濃度が高まります。

従って初期での濃度を出来るだけ低く保つために、入居時に換気装置を最大風量運転する事は住環境の空気質改善にとって良い事になります。

防犯上問題もなく窓の開放が出来る季節であれば、積極的に窓を開放する事で大量換気を得るのも良いと思います。

今回はここまでとします。

次回は『全般換気と局所換気の違い』となります。

幻冬舎ルネッサンス 刊/北村忠男 著/高気密木造住宅をもっと知ろうから抜粋させていただいています。

  

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