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おいしい日本酒がどこでも飲めるようになりました。
地方の中小零細の心ある蔵元が、伝統を守り苦しさに耐えて頑張ったお蔭だと思います。
そうして吟醸酒を始めとする日本酒の銘酒ブームも定着しました。
以前の特級酒・1級酒・2級酒の時代には考えられなかった事です。
これに目を付けた大手日本酒メーカーが造った吟醸酒等は苦戦しているようですね。
今までの桶買いの酒に醸造用アルコールと糖分を添加し、水増しした酒造りが祟ったのかもしれません。
どうせ大手の造る吟醸酒なんてニセモノに決まっている。
マズイに違いない。
というイメージが先行したのかもしれませんね。
本当に『米』と『水』や『麹』、『製法』を吟味して造っても一般の消費者はそっぽを向いてしまいました。
自業自得とはいえ、大手にとっては可哀想な事だと思います。
かえって大手のブランドが無印の良品に負けてしまい、有印悪品になった印象を受けます。
日本の住宅業界の現状はどうでしょうか?
残念ながら逆ブランド現象は今のところ起きていません。
膨大な広告費を払っている大手ハウスメーカーに遠慮した、マスコミが敢えて口を閉ざしているだけなのかもしれませんね。
一見盤石に見える大手ハウスメーカーが主導する住宅事情ですが、確実に地殻変動が起きていると思います。
ドイツ最大のハウスメーカーをご存知でしょうか?
フランスやアメリカの最大ハウスメーカーは?
海外にそもそもハウスメーカーは無いそうです。
日本でも、戦前にはありませんでした。
ハウスメーカーとは、世界の中で戦後の日本にだけ存在する奇異な存在なんです。
またハウスメーカーが外国に住宅を輸出して、貿易摩擦になったという話も聞いた事がありません。
(最近、海外進出を狙宣言するハウスメーカーが出現しました。健闘を期待します。)
建築は基本的に地場産業です。
住宅建築に限定すれば、農業に近いかもしれませんね。
それなのに、外国の住宅をありがたがる人がいます。
輸入住宅とか、ある北欧の国の名前をつけた〇〇ハウスとかを建てている人がいます。
欧米に梅雨はありません。湿気に悩む事も少ないでしょう。
寒さ対策さえしっかりとすれば暑さ対策の必要がない地域に建てられたこうした建物をそのまま輸入してきても、日本の厳しい環境にマッチ出来るとは思えません。
食品メーカーの人が、自社製品が安全で安心ならば、その会社の製品の消費者になるのは当たり前です。
また町のお寿司屋さんも、誇りを持って自分で握るお寿司を食べるでしょう。
例えば私の行きつけのお寿司屋さんがあったとします。
ここに回転寿司チェーンの経営者がお寿司を食べに来ました。
その人は自分の店では絶対食べないとしたら、どうでしょうか?
レトルトのミートボールで売上を伸ばし大成功した会社があります。
その製品のお蔭でビルが建ったそうです。
ところが、その会社で食品添加物のコンサルタントをしている方の家庭で、とんでもない事が起きたんです。
ご自分の娘さんの誕生日の事でした。
会社の仕事で忙しく、彼が帰宅した時には食卓にこのミートボールが並んでいました。
娘さんの大好物だったからです。
でも彼は、驚いてそのミートボールを捨ててしまったと言うのです。
まさか自分の家庭で食べているとは気づかなかったそうです。
そのミートボールは、骨にこびりついた屑肉を使い、鶏肉と添加物で食感を出し、トマトケチャップ風(トマトケチャップは高価で使えません)に合成ソースで味付けしたものだったそうです。
その翌日、彼は会社に辞表を提出したそうです。
現在の彼は『食品の裏側』(阿部司 東洋経済新報社)という本を出版し、食品添加物のセミナーで全国を飛び回っています。
こんな話は住宅業界にもありそうです。
例えば、トヨタの社長はトヨタホームの家に住んでいません。
プレハブメーカーを傘下に持つスーパーゼネコンの役員の家は在来木造の家でした。
日本ツーバイフォー協会の会長が住む家も在来木造です。
自社製品が良ければ、自社製品を買うはずですよね。
見栄えばかりが良くて添加物だらけの家や性能の悪い家は、他人には売りつけても自分は住まないなんて、ひどい話だと思いませんか?
そもそも住宅業界は、全く別の業界つまり非建築資本から参入してきた企業が多い業界です。
つまりポリバケツや食品ラップ、自動車などを作っていた企業が住宅を造り販売している事になります。
そこにあるのは、建築に対する愛情ではなくただ利益を得るということだけなのかもしれません。
ある木質パネル系ハウスメーカーの創業社長がこう言ったそうです。
「車屋に住宅のことがわかるか!」
それを聞いた自動車メーカーの当時の社長は、腹を立てそれを根に持っていたようです。
そして大学教授あがりの財務大臣と手を組み、そのハウスメーカーを会社更生法適用まで追い込み、ついに自分の会社で買収しました。
もちろんその創業者社長はすぐに追放され、代わりに大臣の実兄を社長に据えました。
実にわかりやすい構図です。
車屋やポリバケツ屋、食品ラップ屋に住宅の事が判る訳がありません。
その大手ハウスメーカーの創業社長はさすがに住宅の事がわかっていましたので、現役社長の頃に自宅を木造在来工法で建てたそうです。間違っても自分の〇〇〇ホームでは建てようとは思いませんでした。
住宅業界も、ようやく動き始めました。
COP21におけるパリ協定の採択によって、日本も世界と足並みを揃える事になります。
住宅業界も、政府からの強い働きかけにより低炭素社会の実現を強力に推進しなければなりません。
その為の施策のひとつとが『住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化の推進』です。
これは2030年までに新築住宅の平均で、住宅の年間一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロになる住宅とする政策であり、その定義として以下の4つが挙げられています。
1.強化外皮基準(1~8地域のH25省エネ基準)を満たした上で、UA値を6地域においては0.6W/m2K相当以下とする。
2.再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20パーセント以上の一次エネルギー消費量を削減する。
3.再生可能エネルギーを導入する。
4.再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100パーセント以上の一次エネルギー消費量を削減する。
以上の全てに該当する家を建て、維持する事が国民に課せられた義務といっても差支えないと思います。
大手ハウスメーカーの造る住宅の外皮性能はせいぜい0.6W/m2K程度です。ZEHの定義こそ、ギリギリでクリアしていますが、性能不足を補うために高性能住宅設備を装備する必要があります。
高性能住宅設備は、長期に渡ってその性能を維持する事が出来ません。
購入後、5~8年でしょうか?
10年超の使用年限を持つ機器はそうないはずです。
もしハウスメーカーの言うように、その住宅が30~50年もつとしたら、機器のの交換を3~5回はする事になります。
高価な費用をかけて、その都度新しい機器への交換を行い続ける必要がある事を、こうした住宅を建ててしまった方々は理解する必要があります。
外皮性能の高い住宅は、高性能住宅設備機器に頼る部分が少なくなります。
新築時の負担が少ないのはもちろん、交換の際の費用もかなり少なくなります。
従来の住宅のように、
「自分とその家族が我慢すればいいんでしょう。」
「自分たちの勝手じゃん!」
では済まされない時代がすぐそこまで来ています。
ZEHビルダーの登録制度がスタートしました。
もちろん弊社も登録の準備を進めています。
ゴールデンウィーク前には登録を済ませたいと思っていますが、ここで重要な事は『ZEHビルダー』だから安心なのではなく、建物の外皮性能や一次エネルギー消費量の削減量がどうなっているのかを確認する事が大事だと言う事です。
住宅版BELSによる燃費表示制度もスタートしています。
この表示を見れば、外皮性能や一次エネルギー消費量および削減量がすぐにわかります。
性能に自信のない企業はラベリングを行わないかもしれませんが・・・。
こうした制度を利用して建物の本当の価値を確認し、後悔しない家づくりを行いましょう。
弊社はBELS表示を行うZEHビルダーになります。
新築する建物の50パーセントをZEHにしたいと考えています。
立地条件により太陽光発電の搭載が困難な場合もありますが、外皮性能を上げて対応したいと思います。
家づくりの未来は、確実に変わっています。
同時代社 刊/白岩且久 著/節電住宅から一部抜粋・加筆・修正させていただきました。
https://www.assetfor.co.jp
posted by Assed Red
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