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換気についての基本的なお話しをご紹介しています。
第15回目は『換気設備の騒音対策』というお話です。
換気設備の騒音とは何か?
と言うのは難しい質問です。
騒音とは一般的に望ましくない音で、例えば音楽や音声の伝達を妨害したり、耳に苦痛や障害を与えたりする音を言います。
換気設備の騒音を好むか好まないかを決めるのは個々の人間であるので、個人差・状況の違い・心理的要因等により何が騒音であるのかを決めるのはとても難しいのです。
だからと言って、定量的な基準が無くては判断がつきません。客観的な物差しが決められており、市販されている騒音計は全てこれに基づいた数値が表示されるように作られています。
この基準には音圧レベルを用いますが、人間の耳は周波数により感度が大きく異なりますから、同じ大きさに聞こえるように補正した音圧レベルで表すのが普通です。
この数値をデジベル(db)で表示します。
計算法や標準規格によって厳密な定義が存在しますが、『騒音レベル』と言い習わしている事が多いようです。
人間の耳では感度の低い低音や高音は、物理的な音圧レベルが大きくても小さく聞こえます。この場合の騒音レベルは低くなります。
注意してやっと聞こえる騒音を0dbとします。30~40dbでかなり静かな環境、車内で60~70db。
喧しい所で80db位が一般的に言われています。
換気装置自体のモーターによる騒音値は30~35dbが目安です。低騒音の換気装置でも就寝時には音が気になる場合があり、設置位置は寝室の回りを避ける必要があります。
換気システムは装置自体のモーター発生音と振動による装置設置面の共鳴音が騒音として挙げられています。
また塩ビ管による分岐配管の場合は換気ファンの回転音が伝わり、夜間にクレームになるケースもあります。
換気設備に近く給気・排気口の風量・風圧が大きくなり、風切り音が騒音となる場合もあります。
これらの対策としては、以下の方法が挙げられます。
1.換気装置はなるべくモーター音の静かな製品を選ぶ事。又、就寝時に気にならない場所に設置する事。
2.装置の振動音・共鳴音を防ぐ為、市販の防振吊具やスプリング等で本体を吊下げる事。制震材を挟む事。
3.主管から順次に枝管を取る合流方式の配管回りには、吸音ダクトやチャンバーを設置し減衰・減音する事。
4.給・排気口の設置位置は音が気に入らない場所を検討する事。
プライバシーの面で、一番配慮すべき居室が主寝室です。
主寝室の音が他室に伝わらないようにするには、主寝室を独立した換気経路として自然給気口と排気口を別途に設けます。
ダクトを通じて伝わる音は、減音ダクトや減音ボックス・減音レジスター等を組み込み吸音します。
排気口は緩衝空間のクローゼットに設置するとさらに効果的です。
非常に大きな音を除くと、主寝室の話声や騒音等は他室に聞こえにくくなります。
強制排気方式(第3種換気)の合流管換気システムは、室内がダクトで連続します。
そのため高い防音効果を期待したい時は、チャンバー方式にするか、寝室周壁に吸音効果の高い断熱材を施工すると良いでしょう。
一般的にドアのアンダーカットで換気経路を確保する事が多いのですが、他室の音が伝わるのを気にする場合は、壁に減音レジスターを取り付けると効果的です。
換気システムのダクトを鋼板や塩ビ管等の単一材料で施工すると、共振して振動音が伝わる事があります。
材質の違うグラスウール等の部材を挟むと音が小さくなりますが、カビやダニの発生による空気環境の悪化を懸念される事もあります。
給気ダクトではこうした問題が発生する事もありますが、逆流の無い排気ダクトにおいては特に問題ないと思われます。むしろ、音の問題に配慮するのなら断熱ダクトはオススメです。
今回はここまでとします。
次回のお話は『換気設備と清掃』となります。
幻冬舎ルネッサンス 刊/北村忠男 著/高気密木造住宅をもっと知ろうから抜粋させていただいています。
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