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換気についての基本的なお話しをご紹介しています。
第18回目は『換気ファンとモーターの寿命』というお話です。
換気ファンの寿命は、ある期間連続運転した為にファンの送風能力が失われてしまい、さらに騒音が大きくなり使用出来ない状態を言います。
回転がある値だけ低下した事による回転寿命については、数値的に明確に規定出来る上に測定も容易であり、一般的に寿命と言った場合にはこの回転寿命の事を言います。
又騒音がある値だけ増加した事による音響寿命では騒音が何dbか増えた時に寿命であると定義しますが、最終的判断は居住者の感覚によるものなので、使用条件によっては規定値に達した後も使用可能な場合があります。
一般的に基準や寿命時間によって示すものはありません。
換気メーカーの中にはファンの寿命を回転寿命によって定義し、定格回転数の70パーセントまで低下した事をもって寿命と判断しているところもあります。
換気ファンの軸受けはボールベアリングを採用していますが、ボールベアリングの寿命についても説明したいと思います。
ボールベアリングの画像です。
ファンは軸受けに加わる荷重そのものが小さい為、その寿命は軸受けに注入されているグリスの劣化によって左右される事になります。グリスの寿命は温度と軸受けの回転速度に依存しています。
社団法人日本電機工業会による使用年数と故障発生率の関係については以下の通りです。
一般に部品の故障形態は初期故障・偶発故障・摩耗故障の3段階に分けられます。
初期故障は製造及び検査過程で除去されるように配慮されます。
偶発故障は製品の耐用寿命期間内において摩耗が進行する以前に任意に起こる予測できない突発的な故障です。
技術的な対策を立てるのが難しく、現時点では統計的な取扱いに基づく施策しか出来ない状況です。
摩耗故障は劣化の過程や摩耗の結果として耐用寿命期間の終末付近で発生するものなので、故障が時間の経過と共に急激に増加します。
この時点で特定の部品を新品に交換する事により、予防保全の適切化を図る事が出来ます。
モーターの寿命は絶縁劣化やしゅう動部の摩耗、軸受けの劣化による機能障害、様々な要素によって決定されますが、殆どの場合は軸受けにより左右されます。
軸受けの寿命は機械的寿命またはグリス寿命の2種類です。
モーターでは殆どの場合、軸受けに加わる荷重に起因する機械的影響よりも、発熱によるグリス寿命の影響が大きい為、これでモーター寿命の推定を行う事が出来ます。
グリス寿命に最も影響を与える要因は温度です。
長寿命グリスを採用したモーターは、従来品に対して約2倍のグリス寿命を実現しています。
今回はここまでとします。
次回のお話は『熱交換と省エネ』となります。
幻冬舎ルネッサンス 刊/北村忠男 著/高気密木造住宅をもっと知ろうから抜粋させていただいています。
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posted by Asset Red
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