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いつも、拙いブログを読んで戴きありがとうございます。
相変わらず、「話が長い!」というお言葉を頂戴しております。
反省をし、改善を図ってはいるのですが・・・。すいません、またしても長文になってしまいました。
「もう、結構です。読むの止めにします。」なんて三行半を突き付けられないようにしないと・・・。
気を取り直して、たわいもない話です。
食事を振る舞ってもらった時に「結構でした。」というお礼の言葉がある。
「ご馳走様でした。」と同様の意味を表すものだ。
お茶会でお茶を戴いた後には、点て方の所作や味を褒める際に「結構なお点前でした。」などとも言う。
ここで使われる『結構』という言葉は、『申し分のない事』『優れている事』を表している。
しかし『結構』は、その字面から推察出来るように本来は家屋の構築を意味する住まいに関係した言葉なのだ。
『結構』の『結』には糸を繋ぎ合わせるという意味がある。『構』には構える、木を交互に組み合わせるという意味がある。
そこから住まいを『つくり変える』という意味が生じたのだ。
前漢の時代、魯の王が山東省に建てた宮殿・霊光殿を詠った後漢の王延寿によると、「観其結構 規矩応天(その結構を観る 規矩天に応ず)」/魯霊光殿賦『文選』とある。その建造物としての華やか美しさと壮厳さを称える記述である。
また構想という言葉があるように、『構』には考えを立てる、組み立てるという意味もあり、そこから詩文などの案をつくるという意味も持つ。
「結構文辞(文辞を結構す)」/後漢書とこちらも漢籍に残されている。建造物や文章に対して、その構えや組み立て方が優れていると「この建造物の結構は見事なものです。」「この詩文の結構は素晴らしい」と称賛したのだ。
それがいつしか、冒頭に述べたように結構という言葉だけでも『優れた』とか『申し分のない』という褒め称える意味を持つようになったのである。
このように当初、結構は優れた建造物や文章についてのみ用いられた表現だった。
次第にそれ以外についても形容されるようになっていくのは、室町時代からである。その後、結構の意味はさらに広がる。
例えば『結構なご身分』という言葉は元来『喜ばしい』『羨ましい』という意味だ。それが転じて皮肉や揶揄のニュアンスも持つようになった。
また人柄や人に『結構』をつけると、気立ての良さ・好人物を表した。ただ物言いによっては揶揄や軽蔑に繋がる『お人好し』という意味に受け取られかねないので、注意が必要だ。
諺に「結構は阿呆のうち」というものがあるが、これは人が好すぎるのは馬鹿と同じという意味で、お人好しからさらに一歩進んで『愚鈍』をあらわしている。
建造物や文章の素晴らしさを意味した原義から、それ以外にも使われるようになり、挙句に正反対の意味ともなる。そんな言葉は珍しいのではないか。今では副詞としても使われ、「結構間に合う」とか「結構楽しい」というように使うと、『なんとか』『まあまあ』という曖昧な肯定表現となるので重宝している。
ちなみに、ご馳走になった時に「もう、結構です。」と答えるのは、断りの意が強いのではと躊躇われるかもしれない。しかし本来の意味から考えると、「とても美味しかった。これ以上は戴けません。」という気持ちでもあるので、穏やかな口調で伝えればいいだろう。
結構の語源である建物の話に戻そう。
「日光を観ずして結構と言うなかれ」という諺がある。
これは徳川家康を祀った日光東照宮には国宝や重要文化財に指定された建造物が数多くあり、これを見ないうちにむやみに他の建造物について褒める資格はない。という意味である。そこに『日光』と『結構』という音韻を用いることで日光東照宮の建造物の美しさを称えた、語呂のいい言い回しなのである。
『結構』の語源を紐解き、意味の変遷を辿ると、今も正反対の意味を併せ持つ言葉であることに驚かされる。
とはいえ、例えばマイホームが念願だった方にしてみれば、その暁には訪れる人に「見事な結構だね。」と言われたいものだ。
新潮新書 刊/荒田雅之 著/段取りの段はどこの段?
から一部抜粋・加筆修正させていただきました。いかがでしたか?
そういえば、「結構、毛だらけ、猫、灰だらけ」なんて言葉もありましたっけね・・・。
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