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『住宅燃費』と低燃費な家についてのお話をシリーズでお伝えしています。
第2回目は『その背景』の続きです。
これから近い将来、ガソリンを含めたエネルギーコストが高騰する背景にあるものは何でしょうか?
日本でも『3.11』以降、エネルギーコストの急増が問題視されています。
何も原発が停まったからという事だけで、第3次オイルショック到来を感じさせる訳ではありません。
それ以上に深刻なのが、2000年代後半に迎えると言われる『ピークオイル』です。
ピークオイルは、世界の石油生産がピークを迎えて減産局面に入る事を言います。
今の産油国は中東が中心ですが、人類の飽くなき石油への欲望はロシアや中東だけではありません。
アフリカ・メキシコ・ブラジルなどの中南米にも及んでいます。
英国の世界的オイルメーカーBP社がメキシコ湾で原油流出事故を起こし、総額3兆円という甚大な被害と、海洋環境へも計り知れないダメージを与えました。
ここまで被害が拡大した理由は、深海1500m深くまで石油を堀り進めて開発した油田であった為です。
漏れ出しているパイプラインにフタをしようにも、海の底数千mでは容易ではありません。
シェールガスやオイルサンドといった新たな技術革新による新エネルギーの開発はある程度進むものの、原則として化石燃料は莫大なコストとリスクが伴う場所からしか、採掘出来ないと考えるべきでしょう。
減産局面に突入した化石燃料ですが、一方でそれを使う人々は増加傾向にあります。
富の象徴とも言える自動車保有率で見てみましょう。
例えば、先進5か国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本)の人口は約6億人です。
自動車の保有台数は2人に1台の3億台になります。
一方、インドと中国の人口は公称26億人。自動車の保有台数は今のところ100人に3~4台となっています。
しかし、著しい勢いで経済成長を遂げている両国が、もし先進国並みに自動車を保有してしまったらどうなるのでしょうか?
インドと中国は、これからの10年間で7~10億台も自動車保有数が増加すると言われています。
この予測はあくまで10年間だけのものであり、それ以降も更に増える事は明白です。
エネルギーを取り巻く日本国内の状況及び世界の情勢を考えると、燃料コストの上昇は自然の流れだと思います。
仮に2013年に日本が海外から購入するエネルギーコストが27兆円だとします。
1割アップするだけで、2.7兆円上がります。
家計に与えるインパクトは大きなものとなるでしょう。
上のグラフを見ると、直近の20年間のそれぞれの料金は安定しています。
これを1972年の第1次オイルショックを境にした40年のスパンで見てみると、電気代は3倍に上がっているのです。
この話を現在60歳代後半の方(当時30歳代で働き盛りだった方)に聞いてみても、あまり気付いている人はいません。
何故なら、当時はエネルギーコストの上昇を上回るペースで給与水準も上がっていたからです。
この位の価格アップは吸収出来ていたのです。
しかし、この先『オイルショック』が起きたらどうでしょうか?
40年前の高度経済成長期とは状況がまるで違うのです。
もし今、光熱費が2~3倍になったら・・・。
実に恐ろしい話です。
恐らく1.5倍になっただけでも、家計に与える影響は計り知れません。
消費税が10パーセントになるだけで戦々恐々としている我々にとってみれば、よほどこちらの方が『すぐ備えなければならないリスク』ではないでしょうか?
地震に強い
耐久性が高い
等々、家を建てる時には様々なリスクを考えて、その対策が施されているかを吟味して住宅を購入するでしょう。
では、光熱費の上昇リスクはいかがでしょうか?
光熱費がかかる家は、『リスクの高い家』である事をもっと理解すべきではないでしょうか?
COP21(パリ協定)において、我が国も世界に向けた約束をしています。
その中のひとつが、二酸化炭素の排出量を2030年に2013年度比マイナス26.0パーセント(2005年度比マイナス25.4パーセント)とする。というものです。
その骨子として住宅部門においては、2020年までに標準的な新築住宅の過半で、2030年までに新築住宅の平均で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指すとあります。
ZEHの基本は外皮の性能強化と高性能設備の採用にあります。
燃費の良い家≧ZEH
いよいよ住宅燃費の話に突入です。
今回はここまでとします。
次回は『省エネ基準の改正』をお届けします。
いしずえ 刊/低燃費住宅2/早田宏徳 著から一部抜粋・引用・加筆修正をさせていただきました。
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