家づくりで見落とされている事

『家、三匹の子ぶたが間違っていたこと』を読んで感じた事。

みなさんにも知って欲しいと思った事等々を、

本書にある資料や本文をご紹介しながら書きたいと思います。

日本の『木の家』について、多くの方が誤解していると思われる極めて重大な事象があります。

それは、日本の木造住宅の過半が『構造計算』をしていない。

すなわち、科学的に家の強さを検証・確認(以下、評価)していないという事実です。

大地震の後に総括される有識者の話は、概ね『古い木造』で『屋根が重く』、『1階部分に開口部が多い』住宅に倒壊が多く見られたというものです。

でも倒壊の原因が、そのまま家が古いからとか屋根が重いからとか1階部分に開口部が多いからという訳ではありません。

2階建ての木造住宅の97パーセント以上、すなわちそのほとんどが、地震に対する安全性をきちんと科学的に評価する事なく供給されているという事実が問題だと思われませんか?

これまで、そして現在も、2階建ての木造住宅には構造計算が義務付けされていません。

「そんなバカな?建築基準法に耐震基準というものがあるじゃないか!」と思うのではないでしょうか。

建築基準法では、2階建て以下でかつ延べ床面積500m2以下の木造住宅は、構造計算を必要としていません。

仕様規定というものが存在していて、これが事実上の耐震性の基準となっています。

『壁量規定』というものがそれです。

でも残念ながら、耐震性の参考にはなるが厳密に科学的に耐震性を評価できるものではありません。

試しに『壁量規定』を満たした木造住宅を構造計算で評価してみると、本来必要な耐震基準の6~7割の強度しかない家が多く存在している事がわかりました。

マンションの耐震偽装で問題となった姉歯元建築士の関わった建物は『違法』でありましたが、これらの家は合法的に建てられています。

さらに問題があります。

その『壁量規定』は確認審査する事が免除される『4号特例』も存在し、実際にはこの『壁量規定』を満たしているのかを第3者が評価する事すらないまま、市場に供給されているという事実です。

日本の国土面積は約38万km2で全世界の陸地面積の約0.25パーセントに当たります。

小さな島国『日本』で発生する地震は、マグニチュード6以上の大地震に限定すると世界の22パーセントに当たるそうです。

さすが!地震大国日本というところでしょうか。

こちらは2003年にミュンヘン再保険会社が公表した『世界大都市の自然災害リスク指数』です。

保険金額を決めるためにロサンゼルスを100とし、数値が高いほどリスクが高い事を意味しています。

東京・横浜は並み居る大都市を抑え、圧倒的な『高リスク都市』となっている事が判ります。

地震大国日本で大地震が起きた時の犠牲者の状況は、こうなっています。

阪神・淡路大震災の神戸市内における地震後2週間までの死亡原因を示したデーターとなります。

死亡した場所を見てみると、86.6パーセントの方が自宅で亡くなっています。

その死亡原因の83.3パーセントは、建物の倒壊や家具の転倒を原因とする窒息死や圧死、頭部や内臓などの損傷などであり、次に多いのが火事による焼死が12.2パーセント。しかも更に調べていくと、そのほとんどが家の倒壊が原因で火事が起こったり延焼しやすくなったりし、倒壊した建物によって避難出来なかった事もわかりました。

さらにこの大震災で亡くなった方の死亡時刻を見てみると、もうひとつの重大な事実が分かります。

現場で亡くなった方の約92パーセントが、地震発生後14分以内すなわち地震が起きてすぐにその命を失っていたのです。

犠牲者のほとんどが地震発生後に家が倒壊し、倒壊後すぐに亡くなっていた事になります。

大地震はその揺れ自体が怖いのではなく、倒壊する家が怖いのです。

地震で壊れない家をつくる以外に、大地震による被害者を無くす方法はありません。

その為に必要なのが『構造計算』です。

構造計算では次のように許容応力度を計算します。

1.建物の自重・積載荷重・積雪荷重や特殊荷重(ピアノ・ウォーターベッド等)の合計を計算する。

2.建物に伝わる下向きの力(重量)のルートを調べる。

3.伝わった重量に材料が耐えられるか調べる。

4.台風や地震が来た時に掛かる力を計算する。

5.その時の力に材料が耐えられるかを調べる。

6.地震・耐風それぞれの場合にどの位建物が傾くのかを計算する。(層間変形)

7.建物の上下階の硬さのバランスを調べる。(剛性率

8.建物の重さと硬さが偏っていないかを確認する。バランスよく重さを支えられるかを調べる。(偏心率)

構造計算は手間暇掛かります。計算の為の費用が掛かるのは当たり前、構造補強の為に費用加算も必要となります。

こうした事を懸念し省いてしまった建物の倒壊による災害は、やはり天災ではなくて人災です。

弊社の建物は、全棟『許容応力度計算』を行いその安全性を確認しています。

基礎配筋・構造躯体・構造金物・防水施工、それぞれの工程における『第3者による検査』を行っています。

こうした、

当たり前の事なのに見逃されていた事。

家を建てようと思った方々に知らされていない事。

安全対策として必要不可欠な事。

これらを重要な事と捉え、きちんと説明する事を徹底したいと思いました。

最後にもうひとつだけ書きたい事があります。

地震や台風に強い耐震・耐風性能

火災に強い耐火性能

これらは災害のたびにクローズアップされています。

何か忘れていないでしょうか?

災害で電気の供給が停止され暖房が行われなくなった室内は、被災者の心身を冷やし続けます。

高い断熱性を持った住宅であれば、無暖房状態においても室温14度を維持する事が可能です。

省エネ性に目がいきがちな断熱性能ですが、災害対策としても有効である事を忘れないでください。

無暖房の冬でも室温14度を維持する事が出来ます。

家中を耐震断熱パネルですっぽり包み込むから、安心です。

壁内結露が無いため、新築時の耐震強度(構造計算通りの耐震強度)を維持する事ができます。

壁内結露のある家は、シロアリ・腐朽菌の影響で耐震強度が経年劣化しますから要注意です。

高性能ウレタンパネルは自己消化性が高く、火による炭化層が高い断熱性と相まって延焼を食い止める事も可能です。もちろん、水発泡タイプですから、シアン化合物は発生しません。

やっぱり、FPの家って安全です。

  

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