熱を加える話

今日は良い天気ですね。

元気な太陽の姿を見ると、夏も近いなぁーなんて思ったりもします。

良い休日になりそうな気がします。

今回は、『き』つながりで『木』の話をご紹介します。

「曲げわっぱ」という容器、ご存知でしょうか?

杉や檜、イチイなどの薄い板を、円形や小判型に曲げて作ったものです。

 

弁当箱や小物入れなどに使われています。

「メンパ」の名でも呼ばれています。

これは薄い板を茹でるか、熱い蒸気を当てて熱してから曲げて作ります。

熱せられた薄い板は曲がりやすく、それを元へ戻らぬように型に填めたり、縛ったりします。

そうして形が出来上がったら、桜の皮で作った帯で縫い留めて底を作って仕上げます。

ご飯をよそう「しゃもじ」はブナの木などで作ります。

ある大きさに切って下拵えした木を用意します。

これをストーブの上に用意した大きな鍋で煮て、柔らかくしてから形を削り、センという道具で抉って凹みをつけていました。

こうすると、作業が楽に出来るのだそうです。

 

雪国で使う道具に「かんじき」というものがあります。

 

これも木を円形や楕円形に曲げて、その上に縄で足を載せる部分を作ります。

縄を足に括り付け、雪の上を歩く道具です。

人間の重さがかんじきの輪に分散されて、足が雪に深く沈まないで歩くことが出来るので、昔から重宝されています。

この円い輪の部分を作る材料は地域によって異なりますが、ヤマグワ・ヤチダモ・リョウブ・ミズキ・モミジ・クロモジ・アブラチャン・マンサクなどです。

北海道で使われるヤマグワを例にすると、直径9cmほど×長さ90cmほどの木を採取します。

この木から柾目に角材を4本採ります。

白太(樹皮に近い部分)を除いても3cm角の木材になるはずです。

まずはこれを蒸気で蒸します。

それを曲げてU字型につくり、これを2個合わせて楕円形にします。

マンサクなどは丸木のまま煮て、皮を剥ぎ、1か月ほど固定して形をつくります。

形を整えたり、反らしたりする時には、模型飛行機をつくる時にろうそくの火で竹ひごを曲げるように、火で炙って少しづつ曲げます。

熱を加えずとも水に浸すだけで柔軟さを出すこともありますし、曲げる部分を薄く削ってやることで、より曲がりやすくする方法もあります。

その木その木により合った方法を採ればいいのです。

こうして曲がったまま固まった竹や板は、内部に戻ろうとする力を宿しながらも、形を保ち丈夫に長持ちします。

木の持つ不思議な力をご紹介しました。

ここでご紹介した、曲げわっぱ・しゃもじ・かんじき。どれもが現在も活躍している現役選手です。

もちろん良い仕事をしますし、それなりに高給取りです。体のメンテナンスに気を使う必要もありますよね。

でも最近は樹脂製の若手選手に押され、目にする機会も減ったように感じます。

樹脂製品は、安いしメンテナンスも楽です。それなりに良い仕事もしてくれます。

選手生命はそれほど長くないけど、経年劣化で見苦しくなる前に選手交代する事で、補う事も可能です。

でもやっぱり、木製品が良いと思います。

メンテナンスをきちんとすれば、きれいに長持ちしてくれますから、トータルコストは問題ないと思います。

雰囲気とか触感の良さ、香り等々、いい所はいっぱいあるはずです。

先人の工夫がたくさん詰まった、こうした木製品を上手に活かしたいと思いませんか?

  

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  posted by Hoppy Red

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