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こんな風景、見た事ありますか?
今でも、新木場の辺りで見る事が出来ると思います。
水中貯木と言うそうです。
子供の頃、せっかくの木材を濡らしてしまって大丈夫なのかな?と思いました。
その後写真のような映像を見て、
なるほど運搬の都合であんな事になっているのか。
早く、陸に上げて乾かせばいいのに・・・。
なんて勝手に解釈したりしました。
でも違うんですよね。
こんな話はいかがでしょうか?
木材を乾燥させると、赤身と白太では収縮率が異なるため割れやひびが生じます。
でも山から運び出された木は、しっかり乾燥させないと使えません。
そうしないと建物になってから、大きな狂いが生じてくるからです。
丸太のまま乾燥させればひびが出る。
山や外国から木を買ってきて、大工さんの注文に応えて木材を送り出す製材所にとってみれば、この問題は昔からの大きな悩みでした。
そして考え出されたのが、水中に木を入れておく事でした。
貯木場ではたくさんの木が水の中に入っています。
中には沈んでいるものもあります。
製材所の人は
「こうしておけば、心材と辺材の乾燥の差が出ずにひび割れが起きないんですよ。」
「そしてケヤキやヒノキでも5年ほど、こうしておくと白太は腐って赤身だけになります。」
「残った赤身も内と外は同じ環境ですからひび割れしません。」
「いざ乾燥させる時に外に積んでいた木と比べてみると、むしろ乾燥も早いんです。」
と言います。
水の中に長い間漬けておいた木は乾燥が早い。
というのは不思議です。
どうしてでしょうか?
「自分達は経験からしかわかりません。」
「でも確かに早く乾燥します。」
「研究者が言うには、木の中の樹脂が液体から粒状になり、その為に水が乾燥する時に出やすくなるからとか。」
「水中で菌の働きで細胞が壊れ、水が出やすくなるという人もいます。」
「でも、ひび割れせず乾燥が早いというのは本当です。」
と言っていました。
こうした木を使っている宮大工さんに聞いてみましたら、次のように答えてくれたそうです。
「水中に置いた木はいいですよ。」
「色も穏やかで、香りも違います。ヒノキなんかでも軟らかさが出ます。」
「えっ!水が木の中に浸み込んでいないかって?」
「それはないよ。水の中に5年も入れておいた木を切って中を触ってみると、ほわっと暖かいんですよ。」
「不思議ですね。決して水は浸みていません。むしろ水中で乾いていると思いますよ。」
ひび割れを防いで、乾燥を早くするために、様々な事が試され実際に使われているのです。
ちなみに、水の中の木材は腐りません。
水が酸素を遮断し、腐朽菌の繁殖を防ぐからです。
つくづく、昔の人の知恵に感心します。
『自然の凄さ』を素直に受け止める事が出来たからこそ、こうした事に気がついたと思いませんか?
現代人も見習う必要がありそうです。
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posted by Hoppy Red
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