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パッシブハウスとは、つまるところ『22世紀型のいい家』という事ではないでしょうか。
たとえばクルマの世界に置き換えてみると、住宅がどういう変節の時期にあるかを容易に想像して戴けるかもしれません。
周知のように不振の続く自動車業界ですが、ある分野のクルマだけは売れ続けています。
エコカーです。
ハイブリッドや高燃費ディーゼル・EVといった革新的な技術やシステムで、自動車100年の歴史に革命をもたらしました。
これまでのように、ガソリンだけに頼らない未来のモビリティを視野に入れたクルマです。
その革命をもたらしたのは直接的には新しいテクノロジーですが、革命を支えたのは『そういったクルマに乗り換えよう』というユーザーの意志です。
これは一時的な革命に終わらず、定着していくでしょう。
住宅の世界にも革命が起きました。
前述したように、ドイツでは『エネルギーパス制度』がスタートしました。
時を経ずして、この制度は世界中の住宅業界のスタンダードになると思われます。
我が国においても、『BELS』や『住宅省エネラベル』などの燃費表示制度がスタートしました。
少しづつではありますが、世界の流れに追いついていきたいものですね。
視点を変えてみましょう。
我々日本人にとって『パッシブハウス』の考え方は、西洋文明からやってきた新しい何かではありません。
日本には古来、竪穴式住居がありました。
地中に深く穴を掘り、そこに建てたのです。
その理由は、地中の温度は地表の温度と違い夏は涼しく冬は暖かいからです。
地中温度は、その土地に注がれる太陽熱の量と比例すると言われます。
つまりその土地の平均気温が、地表温度という事になります。
厚い茅葺の屋根が高性能の断熱材となり、夏の強い日射熱や冬の寒さを遮ります。
萱の上に積もった土が、気密性を高め漏気による熱ロスを防ぎます。
またその上に茂った草花は、夏の間にその蒸散効果で屋根の温度を下げてくれます。
土の温度は、年間を通じて一定です。夏はひんやりと涼しく、冬はほんのりと暖かい。
入口の位置だって、風向きを考えて決められていました。
利用できるエネルギー資源が少ない昔の人は、そうして快適な住宅を手に入れていたのです。
今日のような言い方をすれば、断熱・気密をしっかりと行い、屋上緑化や屋根緑化という事までやっている。
と建築家の野沢正光さんは自著の中で語っています。
人類は様々な『道具』を手に入れてきました。
『火』はその代表的なものでしょう。
でも、もう『新しい火』は必要ありません。
今ある『火』を賢く利用し、最小限度のエネルギーで快適な暮らしを実現する。
そうした時期にきているのかもしれません。
太陽光発電をたくさん設置し、HEMSでそれをコントロールし、高性能設備を利用して省エネ・快適を実現する。
こうした『20世紀を継承した21世紀型の家』を建てますか?
それとも、高断熱・高気密な外皮を持ち、遮熱や蓄熱性能を高め、自然の力を有効に活用する事で最小限なエネルギーで快適を実現する。
こうした『22世紀に通用する住宅』を建てますか?
選択するのはあなたです。
さて、どうしますか?
casa soleプロジェクト 著/日本で一番エコな家/WAVE出版 刊
より一部抜粋・加筆させていただきました。
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posted by Asset Red
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