ゼロエネの可能性と断熱性

本日、日本建築学会 建築会館ホールにて開催された

一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)主催

グリーン建築推進フォーラム第2回シンポジウム

パリ協定・民生部門40パーセント削減に向けた展望

に参加してきました。

色々と為になる話を聞かせて戴きましたが、住宅評論家/南雄三氏の話を少しご紹介します。

ゼロエネの可能性と断熱性という話です。

家庭のエネルギー消費量の用途別割合は、東京の場合だと暖房16パーセント、冷房は5パーセントになります。

最も割合の大きいのが給湯の31パーセント、続いて家電・調理の26パーセントとなります。

これを断熱レベルで比較すると、こうなります。

左側が改正省エネ基準レベル、右側はその2倍の断熱レベルです。

断熱性が2倍になると、暖冷房エネルギーは40パーセント少なくなりましたが、合計エネルギーは13パーセントしか減りませんでした。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を実現する為には、太陽光発電による創エネが必要です。

改正省エネ基準レベルの場合A3地域で8kw、A4地域で7kw強必要になります。

断熱性能を2倍にしてもA3地域で7kw、A4地域で6kw強必要になります。

断熱材を2倍にするのと、太陽光発電を1kw増やすのはどちらが安いと思いますか?

太陽光発電の方がかなり安くなるはずです。

こんなデーターもあります。

高断熱および高効率設備の省エネ効果(基準値からの削減量)は以下の通りです。

断熱2倍・・・10GJ

エコジョーズ・・・6GJ

エコキュート・・・8GJ

ハイブリッド給湯機・・・12GJ

全て節水型水栓・・・6GJ

太陽熱温水器(6m2)・・・9GJ

全てLED照明・・・6GJ

太陽光発電1kw・・・9~10GJ

従来のガス給湯機をエコジョーズに変えると約6GJ、エコキュートに変えれば8GJ、ハイブリッドに変えれば12GJも削減する事が出来る訳です。

平成21年から5年間のスパンで実施された事業主基準(トップランナー基準)は、1次エネルギーで基準よりも10パーセント省エネという厳しい条件ながら、94パーセントがクリアしました。

ところが当時の外皮基準レベルである次世代省エネルギー基準(現行基準と同程度)に適合した家は、全体の42パーセントしか無かったそうです。

こうして色々比較してみると、どれが施工的に楽で、どれがコスト的に有利なのか・・・。

なんとなく見えてきます。

断熱性を2倍にすれば40パーセント省エネ、施工は大変だし、ちょっとした間違いが致命的欠陥に繋がります。

だつたら、高性能設備を選んだ方が・・・。

こうした『やりくり・銭勘定の省エネ』が増えているようです。

高断熱は健康の元、そして高断熱は省エネに繋がります。

でも、省エネは残念ながら健康に繋がるとは限りません。

ZEHの外皮基準は現行省エネ基準よりも少しだけレベルが上がっています。

でもこのレベルは、真冬の無暖房の1階トイレの室温が15度を下回らない程度の性能しかありません。

明らかに健康を維持できないレベルの性能しかないんです。

ZEH基準の外皮基準をギリギリ満たし、高性能設備の採用で一次エネルギー消費基準の-20パーセントを達成した『やりくり・銭勘定のZEH』は、健康に程遠い残念な住宅という事ですね。

こうした情報を如何に消費者に発信するかも、今後の課題のひとつだと思います。

機会があれば、今日見聞きした内容をご紹介したいと思います。

お楽しみに・・・

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  posted by Assed Red

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