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おはようございます。
本日はアセットフオーの定休日です。
空も泣いています。(そんな訳ないですよね。)
梅雨明けはまだなんでしょうか?ジメジメしていやなんですよね・・・。
快適な住環境は、湿度に左右されます。
つまり断熱・気密性能を飛躍的に向上させても、湿度対策を怠ると必ずしも快適な住空間にはならないということです。
窓を開ける事で室内に風を採りこんだり、室内に籠った熱気を排出する事で室内温度を下げる事は出来ますが、やはり湿度の調整はできません。
結局、エアコンや除湿器を使って夏は除湿を行い、冬は加湿を行うしかないのでしょうか?
今回は、天然素材を使った内装材と湿気についてお話したいと思います。
どうか、お付き合いください。
健康で快適な住まいづくりの材料は、『ヒトと環境にやさしいもの』と『調湿性に優れたもの』が大切だと思います。
ひとつ目はいちいち説明する必要ないですよね。
調湿性とは、湿気を吐いたり吸ったりして湿度を一定に保つ性質をいいます。
その2つの条件を満たす材料は、簡単に言えば天然素材に尽きると思うのです。
人工的な素材、化学的な素材は確かに便利ですが、多くのものは調湿性を備えていません。
調湿性に限って言えば、自然界に存在する天然素材の方に分があるようですね。
家づくりに活かすことのできる、代表的な天然素材を見てみましょう
例えば壁です。代表的な壁装材と言えば、クロスでしょう。
これには大きく分けて3種類あります。
ビニールクロス・紙クロス・布クロスです。
私がお勧めするクロスは紙もしくは布なんですが、ここでは比較対象としてビニールクロスについても取り上げたいと思います。
ビニールクロスは、3つの中で製造単価が最も安いのが特長です。
印刷や加工で簡単に色々な色や柄・風合いなどを出しやすく、バリエーションも豊富です。
施工も比較的容易で、仕上がりもきれいです。
塩化ビニール製が多く寿命は10年程度、中に含まれる『可塑剤』の揮発により徐々に柔らかさを失っていきます。
コーヒーやケチャップなどが付着しても、拭けばきれいになるのも利点でしょう。
しかし、湿気を吸収する効果はありません。静電気が発生しやすく埃汚れを吸着しやすいのも欠点です。
調湿性・通気性の良いクロスと言えば、お勧めは布クロス・紙クロスです。
念のため書き添えておきますが、ビニールクロスをそれらしく加工した『なんちゃって布クロス』ではありません。
天然素材である布クロス・紙クロスは、湿気を透過します。(透湿性があると言います。)
よく『セルロースファイバーを採用した家は、調湿性が高い』という話を耳にすると思います。
確かにセルロースファイバーは、GWやRWなどの繊維系断熱材や発泡プラスチック系断熱材と違い透湿性および調湿性が高い断熱材です。環境性能も高く、材質は紙(古新聞)ですから天然素材と言っても良いでしょう。吸音性も高く、添加されている『ホウ酸』の効果で防火性や耐蟻性が高いのも魅力のひとつです。
残念ながら他の繊維系断熱材と同様に断熱性能がそれほど高くないため、200ミリ以上の厚さが必要になってしまいます。
また湿気を吸った状態では、著しく断熱性が低下するのも難点でしょう。
またかなりの湿気を吸収出来ますから、その際の重量増加を予め加味して構造計算しておく必要もありそうです。
でも私は、わざわざ断熱材に吸放湿性を期待しなくても、いいと思うんですよね。
木の家であれば、柱や梁・土台等に使われている木材が夏は湿気を吸収し、冬は逆に湿気を放出して湿度調整をしてくれます。
例えば一般的な柱(3.0m×10.5cm×10.5cm)一本で、湿度が40%から80%に上がると1.2リットルの水分を吸収するそうです。
この調湿性を利用するためには、透湿性の高い内装材を使う必要がある訳です。
布クロス・紙クロスは、その透湿性・通気性の良さから『呼吸するクロス』と呼ばれる位です。
また音を反射せず、吸音性に優れているのも利点と言えるでしょう。
ビニールクロスと布クロス・紙クロス、透湿性の違いがわかる実験をご紹介します。
壁の下地材として使われる事の多い石膏ボードに、それぞれビニールクロスと布クロスを貼ったものを用意します。
この2つを湯気の立つコーヒーを入れたカップの上にセットし、それぞれの上にガラスコップを逆さに被せて、しばらく放置します。
すると、時間の経過とともに、布クロスの方のガラスコップが曇ってきます。
これは布クロスが湿気を通している証拠です。
クロスの臭いを嗅ぐとほのかにコーヒーの香りがするはずです。
布クロスがコーヒーの湯気を吸収したからに他なりません。
一方ビニールクロスの上のガラスコップに変化は見られません。
ビニールクロスが閉じ込めた空間からは、湿度が逃げられないからです。
他に自然素材の壁材としては、漆喰・珪藻土などの土壁や貝殻・珊瑚などを使った塗り壁があります。
天然木を使った板材もあるでしょう。
これらはどちらも、湿気を通す素材でありそれ自体が調質性を持っています。布クロスと同等以上の効果を得る事が可能です。
エアコンによる加湿・除湿に頼った家づくりに疑問を感じる方もいるでしょう。
こうした内装材の調湿性を併用する事で、エアコンの使用を減らす事は十分可能です。
でも、注意してください。
調湿性はあくまでもバッファでしかありません。室内の湿度調節を補う程度であり、それだけに期待するのは無理な話です。
また断熱材や構造体の調湿性だけに頼り、気密性を欠いた家づくりは建物本体の耐久性を大きく損なう事もあります。
断熱・気密施工を確実に行い、換気・通気を確保する事で健康・快適で省エネ、家もそこに住むヒトも長寿命を得る事が出来ます。
その為の近道はありません。様々な手法のひとつひとつを丁寧に確実に行う事で、初めてなし得るものだと思います。
天然素材を上手に活用した省エネで健康・快適な住まいづくり、あなたも実現してみませんか?
posted by Hoppy Red
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