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『換気回数』という言葉を知っていますか?
24H計画換気の話に出てきたりします。
これ、家中の空気をどの位の時間で、新鮮空気に入れ替える事が出来るかを表しています。
例えば、現行の法律で義務付けされている機械換気の換気回数であれば『0.5回/h』。
つまり2時間で家中の空気を入れ替える事ができます。
換気回数を増やせば増やすほど、室内空気はきれいになる訳ですが、ここに問題があります。
寒い冬であれば、せっかく暖めた空気が換気により外に逃げてしまいます。
暑い夏だって同様です。
換気回数を増やす事で、熱ロスが発生し、暖冷房コストが余計にかかってしまいます。
問題ですよね。
でも、換気回数って24H計画換気だけではありません。
窓から風を採り込んで涼を得る『採涼(通風の方が有名でしょうか)』の場合も、換気回数で表したりします。
その目安は5回/h、なんと24H計画換気の10倍です。
でも、寒い時期や暑い時期に窓を開ける物好きはいないでしょう。
熱ロスを気にする必要はありませんね。
そうそう、多くの方が意外にも『まったく気にしていない』ところにも換気回数はありました。
さあ、なんでしょうか?
正解は『住宅の隙間』です。
昔の家はハガキ10枚分の隙間があったと言います。
アルミサッシの普及や住まいの洋風化もあって、現代の木造住宅の隙間はハガキ5枚分くらいになっているそうです。
近頃話題の高気密住宅であれば、ハガキ1・2枚分くらいでしょうか。
隙間の大きさを集め、それを延べ床面積で割った数値を『C値(隙間相当面積)』と言います。
C値は〇〇cm2/m2と表記し、値が小さいほど隙間が小さい(気密性が高い)事になります。
ここで、少しだけ物理の授業を思い出してください。
温度は高い所から低い所に移動します。(思い出したでしょうか。)
寒い冬を想像してください。室温25度/外気温5度くらいでしょうか。
窓を閉め、24h計画換気を停止しました。(本当はこんな事してはいけないんですけど・・・。)
断熱材をたっぷりと使った『高断熱住宅』ですから、熱は逃げない筈ですよね。
でも、隙間があったとしたらどうでしょうか?
そうです。温度差や風の影響で、空気は入れ替わってしまうんです。
これを換気回数で表すと次のようになります。
表の左側は外部風速による漏気(隙間から漏れる空気)の換気回数を表し、右側は内外温度差による漏気の換気回数を表します。
一般的な気密性を確保した住宅と高気密住宅を比較すると、その換気回数の違いに唖然とする筈です。
所沢に建つモデルプラン(上図参照)の場合の、漏気による年間冷暖房コストの違いを計算した表をごらんください。
C値5.0の年間電気代を91,193円とすると、C値1.0の年間電気代は17,298円になります。
C値が小さくなるほど、漏気量が減り、年間熱損失量が小さくなりますから、暖冷房費がかからなくなるのは当たり前ですよね。
棒グラフにすると、もっとわかりやすいと思います。
弊社がつくる『FPの家』のC値は0.1~0.5となっています。上の棒グラフで言えば右端位の電気代しかかかりません。
近頃よく耳にする『一次エネルギー消費量計算』では、建物のC値の違いによるこうした違いを全く無視しています。
良い家も悪い家も一律にして計算している訳です。
これって変でしょ?なぜ差別化を図ろうとしないのでしょうか?
隙間の無い家は、暖冷房コストがかかりません。
逆に隙間の多い家は、いくら高断熱化しても暖冷房コストを下げる事はできません。
気密性の低い家のデメリットは他にもたくさんあります。
でも、今回はここまでにしたいと思います。
24H計画換気の熱ロスを気にして、『熱交換型第1種換気システム』を採用している高断熱住宅はたくさんあります。
でも残念ながら、こうした住宅の中で高気密住宅と言えるものはそれほど多くありません。
熱ロスを気にするのなら、漏気による熱ロスも気にすべきではないでしょうか・・・。
という訳で、『寒い家 改修工事』では気密・防湿フィルムによる気密化工事を行っています。
まだまだ、気密化工事は続きます。
そうそう、外壁の割れの補修工事も終わりました。
後は上塗りを掛ければ完了です。
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