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学芸出版社 刊
佐道健 著
木がわかる~知っておきたい木材の知識
から抜粋した記事を7回に分けてご紹介してます。
第3回目は集成材が無垢材より優れている点は?の続きです。
集成材は大断面のものだけではありません。
普通の木造住宅の柱材として使う断面の小さい構造用集成柱は、強度も安定していて狂いが少ない為、良く使われています。
さらに見た目が美しくなるように、表面にヒノキなどの薄い化粧単板を貼っているものもあります。
柱材以外にも、狂いが少ない事が要求される長押や、断面が大きく無垢材では乾燥しにくい梁材は、集成材を使うのに最も適している部材と言えます。
集成材は将来、その品質の確かさから木造住宅での主要な部材として、無垢材にとって代わることでしょう。
このほか、実際に私達が集成材を目にするのは、柱や梁・桁のような軸材ではなく、階段の踏板・テーブルトップやカウンターの方が多いのではないでしょうか。
このような広さとある程度の厚さを求める用途を無垢板で作ると、干割れやねじれが発生します。集成材を使う事で重厚な木質感を残したまま、この欠点を防ぐ事が出来るのです。
なお集成材は無垢材の性質をほとんど残しているので、2次加工は乾燥した製材(無垢材)の加工と変わる事はありません。
構造用集成材は、建築構造物の耐力部材に使用する集成材で、断面寸法が短編15cm以上、断面積300cm2以上の大断面集成材、短編7.5cm未満、または長辺15cm未満の小断面集成材、その中間の中断面集成材があります。
大断面集成材は主としてドームなどの大型建築物の軸材として、中断面集成材は木造家屋の梁材などに、小断面集成材は一般木造家屋の柱材などに使われます。
いずれもラミナの接着には、レゾルシノール系樹脂またはこれと同等以上の性能を持つ接着剤を使用する事になっています。
構造用集成材は耐力性能が違う樹種のラミナを組合せ、大きい応力が生じる部分に強い樹種を配置して積層接着する事によって、同じ断面寸法でも高い耐力性を持つ集成材を設計製造出来ます。
JASでは使用するラミナの樹種に応じて曲げヤング係数や曲げ強度が規定されており、E170-F495などの強度等級の表示をする事になっています。
E表示は曲げヤング係数の平均値を、F表示は基準強度を示したもので、建築構造物を設計・施工するにあたっては、この表示に従って部材を選ぶ事が出来るようになっています。
中断面集成材は、梁・桁材によく使われる断面寸法の集成材です。
通常梁にはアカマツやベイマツの無垢材を使います。でも、この断面寸法の無垢材は乾燥が困難で、施工時に十分乾燥している物が少なく、施工後に割れなどの損傷が発生しやすくなっています。
その点、集成材は乾燥材を積層接着しているので、割れを発生する事も少なく耐力も保証されています。
これからも需要が拡大する事でしょう。
大断面集成材はドーム・体育館・倉庫・橋梁(木橋)などの大型木造建造物の軸材として使われます。
ドーム
体育館
橋梁
ジェットコースター
その接合部には金具を用いるのが一般的で、断面が大きく長いものや軸方向に湾曲したものが製造できるため、スパンの大きな建造物を作る事が出来ます。
断面が大きい事によって耐火性能が付与されるのも特長のひとつでしょう。火災時に表面は燃えますが、そこに炭化層が形成され内部への酸素供給が絶たれるとともに、低い熱伝導率の為内部の温度上昇を妨げる事が出来ます。
標準的な火災時における表面部分の炭化速度は毎分0.6~0.8mmと言われています。
熱伝導率が高く高温で軟化しやすい鋼製の梁が、火災時に急激に強度が低下するのに対し、木製梁は徐々に強度が低下する為構造体が急激に崩れる事はありません。内部の人々が安全に避難する為の十分な時間を稼いでくれる事が実証されています。
次回は、合板は悪者?という話です。
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