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昨日に引き続き
日経BP社 刊
エコハウスのウソ[増補改訂版]
東京大学准教授 前真之 著
の中から、難しいけど面白い話をご紹介します。
人類の故郷であるアフリカでは500万年前頃から気候の乾燥化が進み、当初は湿潤なジャングルであった地域がサバンナに変化しました。食料豊富なジャングルでのんびり暮らしていた人類の祖先は、突如として乾燥地帯での過酷な生存競争に放り込まれたのです。
2本足の人類は手先は器用でも、足は遅い。獲物を追いかけるにしてもスピードでは勝てない。そうなると延々と追いかけ回して獲物が弱ったところでとどめをさすという『持久戦』に持ち込むしかない。
こうして長時間、暑く乾燥した気候の中でオーバーヒートせずに走り続けるため、人間は体をつくり変えてきたと想像されています。
そして10万年前になると、アフリカで異常気象が続き、祖先は全滅の危機に瀕する事となります。
やむなく故郷たるアフリカを出て、人類は世界に進出しました。
恒温動物とはいえ、体は極端な『アフリカ仕様』になっていた人類です。寒い気候への適応は非常に苦労したものと想像されます。そこで人類は衣類そして『家』を発明する事で、世界中の様々な気候で生き延びる事が可能となったのです。
世界の気候を制して繁栄を極める人類ですが、なにぶん熱が逃げやすい体のまま。体温が下がり過ぎてダウンしない為に『寒さに気付く工夫』が全身に施されています。
人の皮膚には『触覚』『痛覚』の他に、暑さ・寒さを感じる『温点』と『冷点』が埋め込まれています。
上図は表皮の温点と冷点の1cm2当たりの数を示しています。暑さを感じる温点は数が非常に少ない一方で、寒さを感じる冷点は全身隈なく分布しています。熱を失いやすい体を持つ人間にとって、寒さに早く気付き回避することが、生存する上で不可欠だったのでしょう。
こうして人体を見返すと、人間が暑さ専用にチューンされていて本当の弱点は寒さである事が判ります。
人体は熱ロス過剰にならないように全身の冷点で常に寒さへの警戒を怠りません。
人間の快適と健康の為には、まずは寒さの克服が最優先である事は自分の体をみれば明らかだと思います。
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