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住宅には断熱性能が求められます。
何故なら、どんなに高性能な冷暖房機器であろうとも、そしてそれらのエネルギーを賄う優れた太陽光発電を設置していようとも、住宅から熱(冬の暖かい空気や夏の冷たい空気)が逃げてしまっては元も子もありませんから。
それは『ざるで水をすくっている』ようなものでしょ。
日本の気候を考えた場合、暑さ対策と寒さ対策のふたつを勘定に入れなければなりません。
『夏は涼しくて快適だけど、冬寒い』では話になりませんよね。
その逆もまた然りでしょう。
もっと言えば梅雨などの湿気対策も必要です。
このあたりが、空気が乾いていて夏場も比較的涼しいドイツとは大きく違いますよね。
では断熱性能を高めるために何をすれば良いのでしょうか。
まずは、壁の中の『断熱材の厚さ』が重要です。
これが厚ければ厚いほど、通り抜ける熱の量が減っていきます。
断熱性能を表す際に『熱貫流率(U値)』という数値を用います。
これは家の中と外で、1度の温度差がある時、1時間に1㎡を通過する熱量を求めた数値です。
その数値が小さければ小さいほど、断熱性能が高い事を表します。
素材別にこのU値が1W/㎡Kである状態をつくり出すために、各素材にどれほどの厚みが必要かを示した数値があります。
コンクリート:厚さ1.5m
石膏ボード:厚さ15cm
無垢の木:厚さ9cm
ちなみに、ドイツの『パッシブハウス』基準は0.15W/㎡K、日本の改正省エネ基準のうち、北海道では0.46W/㎡Kとなっています。
ちょっとややこしい話になりますが、コンクリートや木材といった素材だけで断熱性能を保とうとすれば、現実にはあり得ないような厚さが必要になります。
イラストを見ただけで、木の断熱性の高さが解ると思います。
ここで登場するのが『断熱材』です。
断熱材には、いくつかの種類があり、使い方も様々です。
グラスウール・ロックウール・セルロースファイバー・ポリスチレンフォーム・ウレタンフォーム等々。
『外断熱(外張り断熱)』や『内断熱(充填断熱)』といった言葉を耳にした事もあるでしょう。
ちょっと詳しい方であれば、「そのどちらがいいのか?」といった議論がある事もご存知でしょう。
最近では、双方を合わせた『付加断熱(外張り+充填)』なんてものまで耳にするようになりました。
いずれも一長一短ありますが、いずれにしてもローコスト住宅にありがちな『いい加減な充填断熱』では、外壁と内壁の間にある空間にある断熱材が『結露』により、本来の機能を発揮しなくなるケースもあります。(壁内結露といいます)
ひどいケースでは、内壁を剥がしてみれば断熱材が水分を含み、その重さで下の方にずり落ちている事も・・・。
誤解を恐れずに言えば、下に溜まった断熱材はもはや『カビの生産工場』と化しています。
そうなってしまっては、家の中に暮らす人を守るべき断熱材が、逆にその生活を脅かす存在になってしまいます。
日本のような高湿度の気候では、結露対策も重要でしょう。
大切な事は、よりU値の小さい断熱材をより厚く使用する事です。
U値と断熱材の厚さを掛け合わせた数値(熱抵抗値)で比較するのが良いと思います。
熱抵抗値は大きい程断熱性能が高い事を表します。
例えば
FPの家の壁(厚さ105mm)のR値は4.37
プラチナFPの壁(厚さ120mm)のR値は6.00
一般的な高断熱住宅の壁(厚さ100mm/W16K)のR値は2.22
外張り断熱の壁(厚さ50mm/EPS)のR値は1.25
その差は歴然でしょ?
断熱だけではありません。
防露・防湿・気密・防風といった断熱性能に関わる対策が必要になる事も忘れないでください。
この話は、いずれまた・・・。機会がありましたら。
posted by Asset Red
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