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見える部分で起こる結露を『表面結露』といいます。
これに対して壁の中や天井裏・床下など見えない部分で起こる結露を『内部結露』といいます。
表面結露を起こす要因の1つに断熱不足が挙げられますが、皮肉にも、断熱材が内部結露を起こします。
断熱性能が高い程表面結露は防げますが、逆に内部結露の危険は高まることになります。
内部結露とは室内の水蒸気が断熱材の中を透過して、冷えた外壁裏にぶつかり結露する事を云います。(図①)
結露を防ぐには2つの方法があります。
ひとつは上図②のように水蒸気の流れを止める方法であり、もうひとつは③のように水蒸気を通過させる方法です。
まずは水蒸気の侵入を止める事を考えましょう。
室内の水蒸気が壁の中に入るのを完全に止める事が出来れば良い訳ですよね。でも、水蒸気を完全に止める事なんて出来るのでしょうか。(図③)
コンセントボックスや配管類・換気口など、気密施工は大変難しいんです。
目先を変えてみましょう。
壁の中に侵入した水蒸気を勢いよく透過させてしまえば、結露する前に外に排出する事が出来ます。
確かに繊維系断熱材は水蒸気を良く通します。でも壁の中は断熱材だけではありません。断熱材の外側で抵抗を受ける事もありますから、それほどスムーズに透過出来る訳ではないんです。(図③´)
そこで考えられるのが、出来るだけ室内側で水蒸気が壁に侵入するのを防ぎ、少し入ってしまった水蒸気を結露する前に外に排出するという2段構えの方法です。(図④)
この時、外壁があっても水蒸気を透過させる為には、外壁自体に透湿性のあるものを用いるか(下図左)、外壁と断熱材の間を離して通気層をつくるか(下図右)の2通りあります。
前者を『透湿壁工法』、後者を『通気工法』と呼びます。
日本の外壁は水蒸気を止めるものばかりです。
シェア70%を持つ窯業系サイディングや金属系サイディング・タイル等々。全て水蒸気を通しません。
これに対して、海外の家の壁は煉瓦とか木製サイディング、モルタル・石等々。いずれも水蒸気を通す材料でできています。
こうした外壁材を用いれば、透湿壁工法になります。
透湿壁工法は壁と断熱材が密着していますが、通気工法は通気層を通して外に繋がっています。ですから外の冷たい空気は、断熱材の繊維の中に侵入してしまいます。
セーターではスースーと風が通ってしまい、寒いのと同じようなものです。
そんな時はセーターの上にウインドブレーカーを着ますよね。
これと同じものが通気工法でも施工されています。そう、『防風層』と呼ばれるシートです。
この防風層には面白い特性があります。
空気も水も通さないのに水蒸気だけは通すんです。
防風層には無数の小さな穴が明いています。この穴は10万分の4mmと言われる水蒸気と同じくらいの大きさです。水や炭酸ガス・空気よりも小さいので、こんな魔法のような事が出来る訳です。
防風層として用いるシートを『透湿防水シート』と呼ぶ場合もあります。まさに、湿気を透過させるけど水の侵入を防ぐ魔法のシートですよね。
最後に内部結露を防ぐ為に、最も重要な事をお知らせします。
それは『水蒸気は外にいくほど開放』という事です。
つまり、水蒸気の流れる順番に合わせて水蒸気の通しやすさを大きくするという事です。
水蒸気の通しやすさを『透湿抵抗』で表す事ができます。透湿抵抗が大きいものは水蒸気をとおしにくいものであり、逆に透湿抵抗が小さいものは水蒸気を通しやすいものという事です。
室内から外に向けて透湿抵抗をだんだん小さくする事で、壁内の水蒸気は勢いよく排出されます。
合板など透湿抵抗が大きいものを断熱材の外側に張る事は、避けた方が良いでしょう。
硬質ウレタンフォームを使ったFP壁パネルは、適正な気密施工を行う事で水蒸気の侵入を完全にシャットアウトする事が可能です。
こんな事にならない為にも、断熱材の選択は、こうした防湿・防風施工も踏まえて行うべきだと思いますよ。
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