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住まいづくりを意識し始めると色々な言葉が耳に入ってきます。
似ているようで違うものもあれば、どっちが正しいの?なんて事も多々あることでしょう。
今回は『防湿気密シートと透湿防水シート』について書かれたものをご紹介します。
まず頭に入れておきたい事があります。
それは分子の大きさについてです。
水>空気>水蒸気(湿気)
シートには目に見えない無数の穴が開いています。
水分子よりも大きな穴をもつシートは、水を通してしまいます。これを透水といいます。
水分子よりも小さく水蒸気分子よりも大きい穴をもつシートは、水は通しませんが水蒸気を通してしまいます。これを防水・透湿といいます。
空気分子は水蒸気分子よりも大きいので、水蒸気が通らない穴をもつシートは空気も水蒸気も通しません。これを防湿・気密といいます。
元々北海道や東北などの寒冷地の住宅では、住宅の断熱化が推進されていました。
外皮を通した熱の移動を少なくし、暖房負荷の低減を図っての事でした。
でも建物の断熱化を図った結果は、断熱材内部の結露(内部結露)によるカビや構造材の腐食などが発生と、それに伴う建物の耐久性低下でした。
室内側の壁の穴を透過した暖かい熱を伴った水蒸気は、室外の冷たい空気で冷やされ結露します。
ここに吸水性を持つ断熱材があれば、結露水を吸収し断熱性は低下します。
吸水した断熱材は重くなりますから、下に落ちてしまう事もあるでしょう。
こうした状態では、ますます内部結露は増える一方となります。
いずれ木材腐朽が始まり、建物の耐久性は著しく減少します。
内部結露を防止する為には、建物全体の気密性を高め水蒸気の侵入を遮る必要があります。
そこで、断熱材の室内側に防湿・気密性の高いプラスチック系シートや他の材料と複合したシートが貼られるようになりました。
別張り防湿フィルムと呼ばれるこうしたシートを用いた『防湿・気密層』を連続的に設ける施工は、高断熱・高気密化として普及・拡大する事になります。
今では、さまざまな材質・性能の製品が、別張り防湿フィルムとして出回っています。
グラスウールなどの繊維系断熱材に、アスファルトコーティング又はアルミニウム箔を貼り合わせたクラフト紙で防湿層を構成する場合もありますが、やはり主流はポリエチレンフィルムなどのプラスチック系シートでしょう。
防湿気密シートは結露防止の目的から、透湿抵抗により分類されています。
引っ張り切断伸び率は、透湿抵抗・強度などの性能低下の度合いを示すもので、シートを使用する際の環境状態を想定した値となります。
アルカリ処理は、シートが部分的または全体がコンクリートと接触する場合、コンクリートが1週間程度で強アルカリから中性化が進むという性質から決められています。
また材料の構成により、ポリエチレンフィルムなど単一の材料で構成された単体シートと性質や形状の異なる複数の材料を組み合わせた複合シートに分けられます。
内部結露を防ぐ為には、断熱内部の防湿や気密とともに、断熱材外側に通気層を設ける事も有効です。
(通気層がない壁の場合も、B種の品質性能が確保できれば結露を防止する事は可能です。)
住まいの断熱化にとって、防湿性の向上は必須条件となります。
防湿性を高める事は、結果的に気密性の向上に繋がります。
気密性の向上は、様々なメリットを住まう人々に与えてくれる事になる訳ですが、その辺りの事は今回は割愛します。
透湿防水シートは、住宅の内部結露を防ぐために断熱材と外壁の間に通気層を設ける『通気層工法』などにおいて使用します。
水蒸気は、湿度の高いところから低いところに移動する性質があります。
また通気層の中には常に上昇気流があるため、壁の中に比べて負圧になっています。
この2つの性質を利用し、防湿・気密シートを透過した水蒸気を室外に放出するのが通気層工法です。
透湿防水シートは壁の室外側に設けます。その目的は、防水・防風・透湿です。
以前は外壁の防水シートにアスファルトフェルトが使われていました。
しかし住まいの高断熱化に伴い、室内側の水蒸気が壁体内で結露を起こすことが問題となり、透湿性が求められるようになりました。
透湿防湿シートは、断熱材の室内側に設けられる防湿気密シートとは、使用する位置が違い壁の外装側にあります。
そのため雨水の侵入防止・防風による気密性の確保・水蒸気の排出という機能を併せもっています。
ここで、防風性について簡単に説明しましょう。
断熱材をセーターと考えてみてください。
寒い冬に重宝するセーターですが、強い風が吹いている時はスースーして寒いですよね。
こうした場合、皆さんはどうしていますか?
コートとか、ウィンドブレーカーを羽織るのではないでしょうか。
このコートやウィンドブレーカーが防風材に当たります。
風の侵入を防ぎ、暖められた空気を逃さなくなります。また水蒸気の侵入を防ぐこともできるでしょう。
透湿防水シートの種類はA・Bの2つあります。
Aは一般値向け、Bは寒冷地向けとなっています。
性能として求められている透湿抵抗・結露防止性・防水性・外気の侵入防止のための防風性などによって分類されています。
通気層をもたない住宅でも防水シートが使用されていますが、防風・透湿の性能が充分に発揮されているのかは、まだまだ検討段階というところでしょうか。
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