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雨の休日。
いつも通りに早起きしましたが、特にやる事があるわけでもありません。
雨音を聞きながら、色んな事を考えています。
ある化粧品会社のコマーシャルメッセージに、傑作と言われるものがありました。
『25歳はお肌の曲がり角』という言葉は、そのコマーシャルで使われたものです。
25歳という年齢はヒトの体の成長が完成を見る時期であり、このあたりを頂点として緩やかな老化に差し掛かるそうですね。
ですから肉体的なコンディションとしてヒトの一生の中では最高の状態にあり、お肌もまた健康一杯の艶やかさを保っている。
でもそれは・・・。
残念ながら少しづつ劣化の道を辿るわけで・・・。
暖房や冷房の設計をする時、室内の温度や湿度の目安として適切な数値を採用することは快適で健康な生活環境を経済的に実現するための、極めて重要な作業のひとつです。
北京原人あたりから数十万年を経てきた『火』の技術も、近世まではほとんど経験と勘を頼りにして発展したように思います。
やがて産業革命を背景に、他の科学技術の分野と同様に定量的に取り扱う事が必要となり、様々な尺度が工夫されてきました。
温度そのものがそのような新しい尺度であり、18世紀の初めにドイツのファーレンハイト氏による華氏目盛が作られてから、まだ300年ほどしか経っていません。
湿度による数量化に至っては、それからさらに数十年後になりました。
ヒトを取り囲む室内の熱環境を、温度・湿度・気流などの個々の要素の働きの組み合わせとして総合的に捉えようとする試みは、1920年代から活発となり、数多くの実験と解析が世界各地で進められ、様々な測定装置や100を超える指標が工夫されてきました。
それらは20~25歳あたりの青年男女を対象に行われたものがほとんどであり、被験者としてこの年齢層が圧倒的なのは、かなりの負担を伴うこの種の実験に協力を得やすい学生か若手研究者が選ばれているためと思われますが、なんにでも対応出来る若さは時に問題となります。
このヒトたちは人類一般のモデルとして実験に参加していますが、本当は高齢者や障害者はもとより普通のヒトの代表なんでしょうか。
私達の周りの生活環境を、これまでの『ミスターアベレージ』達だけのものではなく、大小様々な個体差をもつヒト達が共に生きていく場として見直し、作り変えていこうという『ノーマライゼ-ション』という発想は、国際障害者年以来の世界的な合意となっています。
建築設計や都市計画の分野ではすでに多くの専門家がこうした課題に取り組んでいて、ハンディキャップを配慮した住宅の普及は我が国でも軌道にのりつつあります。
でも暖冷房に関する限り、この問題への関心は極めて不十分であり裏付けデーターもまだまだ不足している状況です。
未だにこの分野の研究者の多くは、20~25歳の健康な男女から得られたデーターにあまり疑問を感じていない事が読み取れます。
この年頃は多くの場合、肉体的コンディションが一生の中で最高の状態にあると言ってよく、冒頭のコマーシャルとしては「25歳以上の人は、良い化粧品を選んで十分なお手入れが必要ですよ・・・」となる訳です。
25歳の少し前あたりは、からだの周りの環境から受けるストレスに対しても最も抵抗力のある年頃でもあります。
つまり環境適応力が頂点に達した、健康の面では『一部のエリート』にしか過ぎないグループであり、ミスターアベレージというよりもミスターピークと認識すべきでしょう。
実際に職場では中堅であり仕事や生活の負担が一番多い世代、本当の平均君たちはそろそろ様々な成人病に悩み始めている事でしょう。
高血圧・腎疾患・神経痛・・・。しばしば慢性の半健康状態をもたらす様々な成人病の多くは、温度や湿度の影響を受けやすいものであることは良く知られています。
中高年になれば、成人病にかかる確率はさらに高くなります。やがて体調が悪いわけでもないのに、暑さ寒さが堪えるようになるでしょう。
近年になって研究者により、健康と温度の関係が明らかになってきました。
こうした研究者と医療従事者とがタッグを組み、様々なエビデンスの収集を行うプロジェクトも始まっています。
あと10年もすれば、それぞれの年齢や性別ごとに最適な温度環境が見極められるようになるでしょう。
そして、そうして整えられた環境は快適であり、健康を維持・増進する事になるはずです。
そうなる事を願いつつ、今わたし達に出来る事を考え実践する事。
省エネで快適、住むだけで健康になる住まいづくりを行い、そうした思いをシェアする事を続けたいと思います。
早く雨やまなかなぁー。
台風被害たいした事ないといいなぁー。
posted by Hoppy Red
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