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10月9日、『FPの家 H邸』において『気密測定見学会』が開催されます。
『気密性の高い家』といいますが、それってどんな家なんでしょうか。
隙間が無くて、息苦しいイメージをお持ちの方もいるでしょう。
潜水艦のように隙間が無くて、水の中に沈めても水が入らないレベル?
そんな事はありません。
そもそも、住宅には新鮮空気の採り入れ口や汚れた空気の排出口が必要です。
それが無ければ呼吸ができませんからね。
エアコンを設置すれば、結露水の排水口だって必要になります。
こうした機能上必要な開口部は別として、それ以外の空気の通り道(隙間)が少ない家を『気密性能の高い住宅』と呼んでいる訳です。
こうした隙間の大きさや多さを計測するのが『気密測定』になります。
透明で動きが見えない空気ですが、機械を使って隙間を測定する仕組みです。
凄く興味深いですよね。
当日は是非お越しいただき、その模様をご覧ください。
『気密(防湿)の重要性』については、以前にもこの場を借りて説明させていただきました。
難しい話ばかりで、いまいちピンと来ていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、少し切り口を変えてみたいと思います。
上に挙げた平面図および立面図は、木造一戸建て住宅の外皮計算基本講習テキストの外皮計算等に使われているモデルプランです。
今回はこのプランを使ったデーターを活用して、説明および比較をしたいと思います。
一応算出したデーターを挙げてはありますが、細かい数字の話は割愛させていただきます。
比較対象は、前回ご紹介した『HEAT20のG1・G2グレード』相当の家となります。
こんな計算をしてみました。
まず①で、C値0.5の家と1.0の家における漏気量を算出しています。
前者は弊社の建てる『FPの家』をイメージしました。
後者は相当頑張っている『高気密の家』のイメージです。
最近建てられている一般的な家のC値は3.5位というデーターもあるようですね。
古い家のC値は8.0位と言われています。
当然C値の小さい(隙間が少ない)家の方が、漏気量は少なくなります。
ここで得られた漏気量から損失する熱量を算出したのが②となります。
冷暖房で調節された空気を外に捨てて、代わりに外気を採り入れている訳ですから、隙間が少ない方が省エネになっています。
③は、G1・G2グレードの家の冷暖房消費エネルギーを算出したものとなります。
断熱性能が高い家の方が冷暖房エネルギーは少ない筈・・・。
前回も書きましたが、G2グレードが弊社の建てるFPの家のイメージです。
G1グレードはZEHの家だと思ってください。(高性能ZEHではなく、メカメカZEHの方です。)
⑤(すいません、④にするところを間違えてしまいました・・・)は②と③を足したものとなります。
つまりG1・G2グレードの家のC値0.5の場合と1.0の場合の冷暖房消費エネルギーを算出したものとなります。
これをkwh当たり25円で換算したものが次の表です。
この表を見ると、断熱性能の高さと隙間の少なさによる冷暖房にかかるコストがわかります。
中にはオール電化の方もいらっしゃるでしょうが、このデーターでは、kwh当たり25円で計算しています。
弊社の建てるFPの家(G2グレード/C値0.5)の年間冷暖房の消費電力料金は45,713円。
気密に相当気を使っている工務店が建てるメカメカZEHの家(G1グレード/C値1.0)の年間冷暖房の消費電力料金は59,198円となっています。
それほど差がないとお感じでしょうか?
この表を見ると、面白い事が判ります。
それは断熱性能をG1グレードからG2グレードにグレードアップするよりも、気密性能を高める方が電気代が下がるという事です。
断熱性能のグレードアップはそれなりのコストがかかります。
でも気密性能の向上は大工さんの施工次第です。コストが上がる訳ではありません。
気密施工が得意な大工さんに頼めば、電気代が下がるという事です。(もちろん気密施工を全く行っていない建物を気密性の高い家にしようとすれば、それなりに費用はかかってしまいます。費用対効果は計算してみないとわかりませんが・・・。)
気密性向上と電気代のお話、いかがでしたか?
今度は一般的な高断熱住宅(H25基準の家)との比較を簡単にしてみます。
(独)建築研究所のWEBプログラムで算出されたH25基準の家の年間消費エネルギーを見てみましょう。
地区区分は『6』になっていますから、東京のデーターと考えていいでしょう。
冷房に必要なエネルギーは4331MJ/年、これを換算すると1203.15kw/年。
一方、暖房に必要なエネルギーは15399MJ/年、換算値は4277.84kw/年となります。
この値に25円/kwhを掛けて電気料金を算出すると、それぞれ30,078円・106,946円。
合計すると、137,024円。結構凄い金額になりますね。
H25基準に、気密性能の規定はありません。
でも、ある識者によれば2.0~5.0位の気密性能をイメージしているとの事。
とすれば、この金額が漏気による熱損失も含めたものと解釈しても良さそうですね。
H25基準の家とG2グレード/C値0.5の家(弊社が建てるFPの家)の一年間の冷暖房コストの差は、91,311円にもなります。
仮に30年住み続けるとすれば
その差は91,311円×30年=2,739,330円。
また、寒さを我慢する家と寒さを忘れてしまう家の医療費の差は9,400円/人にも上がるそうです。
家族の人数を4人と考え、これを30年続けるとすれば
9,400円×4人×30年=1,128,000円。
この2つを足してみると、3,867,330円。
モデルプランの床面積は36.25坪(120.08㎡)ですから、坪単価にすれば106,684円/坪に相当します。
もちろん、長持ちすればするほどこの差は大きくなります。
住まいの高断熱化は必要です。
でも、気密性の向上だって必要です。
夏涼しく冬暖かな家
快適でそこに住まう人の健康を守る家は、省エネでもあります。
初期投資の大きさに目を奪われていませんか?
まずは、気密測定を体験してみましょう!
色々と感じる事があると思います・・・。