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今回は『気密性能測定(以下、気密測定)』について書きたいと思います。
気密性能は高性能住宅の必要条件です。
気密性が高いという事は、隙間が少ないという事。
そこから侵入する、粉塵・騒音・花粉・虫・ダニや熱気・冷気・湿気を少なくしてくれます。
逆に気密性が低いと、これらの侵入を防ぐ事ができません。
隙間から入ったり出たりするのは困ったものばかりですが、『家の中の人間が我慢すれば問題なし』という考え方もあります。
我が国の昔の家は、みんなこうだったんですから。
でも住まいの断熱化を進めてきた結果、湿気の侵入だけは許す事ができなくなってしまいました。
上のイラストのようなメカニズムにより、ご存知『内部結露』の発生を引き起こすからです。
意外と思う方も多いと思いますが、空気の大きさは水蒸気よりも大きいんです。
ですから空気が通る床や壁・天井は、水蒸気を簡単に通してしまいます。
内部結露を防ぎ、建物の腐朽を防止する為にも、今一度『住まいの気密性を高める』必要がある事をご理解いただきたいと思います。
気密性能は気密施工の精度に大きく左右されると言われています。
つまり同じ施工方法を採用したとしても、施工を行う大工さんの腕により、気密性能は大きく異なるという事です。
ですから建物1棟1棟全てにおいて、JISの規定に則り、気密測定技能士による気密性能を測定しなければなりません。
『FPの家』の気密性能基準は、相当隙間面積(C値)を1.0㎠/㎡以下とし、尚且つ0.5㎠/㎡以下を推奨値としています。(H25年度の平均C値の実績値は0.48㎠/㎡)
気密測定の測定方法は以下の通りです。
1.建物外皮内のドアは全て開放し、建物内を一繋がりの空間にします。給排気ファンがある場合はこれを停止してください。
2.建物外皮を次の測定状態にして、建物内を一つの密室にします。
屋外に面する窓・ドア・給気口・小屋裏点検口・床下点検口・郵便受けを通常の方法で閉じてください。
屋外に通じる給排水管・第3種換気の排気ダクトの屋外側出口をテープにて目張りしてください。
3.測定前後の風速・外気温・室内温度を測定します。なお測定状態は、現場の風速が無風に近い状態が良く、測定時の室内温度を5~35℃に設定します。
4.整流筒の設置場所は、主に建物外壁の窓などの開口部に取り付けます。接続箇所は空気漏れを防ぐ為、テープ・シーリング材などでしっかりと密閉します。
5.送風機を作動して、建物内の空気を流量測定管を通して強制排気し、建物内の空気圧を下げ外気圧との差を作ります。同じ力で排気する条件下では、気密性が高い建物では内外の気圧差が大きくなるのに対し、隙間の大きい建物では隙間から外気が入ってくるので内外の気圧差が少ない事になります。送風機の回転数を調節して送風量を増減させ、送風量・圧力差が安定した時点で送風量と圧力差を測定します。測定圧力差は、2mmAq[19.6Pa]を中心とし、測定点数は3点以上行います。ただし測定点ごとに1mmAq[9.8Pa]程度の圧力差を生じるようにします。
気密測定は実際の建物の内外を隔てる外周部分(外皮)の密閉性の程度を意味し、総相当隙間面積または相当隙間面積で表します。
『FPの家』では、これを気密性能報告書に記載し、お施主様に公開しています。
以下、気密測定に関する用語の意味を挙げます。
建物外皮・・・
外壁・屋根または天井・床または基礎・開口部などの部位にあって建物の内外を気密・断熱的に隔てる部分。
測定圧力差(mmAq)・・・
建物内外の圧力差
通気量Q(m3/h)・・・
建物内外に、ある圧力差がある時、1時間に建物内から流れる空気量。
隙間特性値n・・・
隙間の状態を表し、通気特性式を対数で表した場合の直線の傾き。
一般にnは1~2の範囲の値を取り、それぞれの隙間が極めて狭い場合は1に近づき、広い場合は2に近づきます。
通気率a(m3/h・Pa/h)・・・
通気特性式の係数で、建物内外の圧力差が1Paの時の1時間当たりの通気量。
通気量グラフ・・・
建物の内外圧力差と通気量の関係を示すグラフ。
両対数(log-log)目盛りで表され、縦軸に圧力差⊿P(Pa)、横軸に通気量Q(m3/h)を取ります。
総相当隙間面積αA(㎠)・・・
建物内外の圧力差9.8Pa時の通気量から、隙間と等価の単純開口の有効面積を算出したもの。
相当隙間面積C(㎠/㎡)・・・
総相当隙間面積(αA)を建物外皮内の実質延べ床面積(S)で除したもの。
以上です。
堅苦しい話ばかりで申し訳ありませんでした。
でも実際の気密測定を見て、感じていただければ、難しい事なんて何もありません。
「気密性がいいと、息苦しいんじゅないの?」
と思っている方には、特に体験していただきたいですね。
来る10月9日、『FPの家 H邸』にて『気密測定見学会』が開催されます。
ただ、測定の様子を見るだけではありません。
気密測定技能士の方より、簡単なレクチャーがあります。
隙間の大きさによる建物内外の気圧差を体験する事も出来ます。
体験した方からは
「おもしろかった」
と中々好評なんですよ。
めったに見る事が出来ません。
それもそのはず。
ほとんどの新築現場で気密測定は行われていないんですから・・・。