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10月9日に開催される『FPの家 H邸/気密測定見学会』に備え、今週は『気密』に関するネタをご紹介します。
まずは北村忠男氏の『日本の木造住宅の常識を変えた高断熱高気密住宅』の中から一部抜粋しました。
換気が不十分な高気密住宅で起こる事
高気密化を全く意識していない従来の木造住宅の換気は、住宅の内と外の温度差や風など、自然の力に頼った隙間風や窓の開け閉めにより空気の入れ替えてきました。
もっとも隙間風による換気は厳密に言えば『漏気』であって『換気』ではありませんけど・・・
古い木造軸組住宅は、24時間機械換気をしなくても建物の隙間から自然に換気されていました。
この隙間風が、冬は省エネルギー暖房を目的に施工した断熱材の性能を低下させ、内部結露の発生、木材の腐れなどの原因を作り、建物の寿命を著しく縮めていました。
気密(防湿)化を図るという事は、断熱材の性能を100%発揮させ、室内側に良好な温熱環境を確保する事です。
また、これと同時に必要となる計画換気を確実に行う条件づくりなのです。
『換気は自然エネルギーで行うもの』という長い生活習慣に親しんできた人には、24時間の計画換気を行うという新しい生活は、理解しづらいのかも知れません。
換気が不十分な高気密住宅では、次のような不快な現象が起きます。
室温が低く、湿気が多い場合は、結露によるカビ・ダニが発生しやすくなります。
一方、室温が高く空気が澱むと建材や壁紙を始め家具などから発生するホルムアルデヒドなどの影響で、不快な臭いや目がチカチカする痛みなどが起きます。
また人体から発生する臭い、タバコの煙、浮遊粉塵、台所・浴室・トイレから発生する臭いや水蒸気は、人体に悪い影響を及ぼします。
このため
「高気密住宅が悪い」
「建材や壁紙や接着剤が悪い」
「高気密より気密をほどほどにした自然派健康住宅がいい」
という方が必ず出てきます。
しかしこうした議論は、これらの現象が『気密化』と『換気』が整合しておらず、必要とする断熱と暖冷房が設備されていないために起こる事を見逃しています。
~以下略
気密をほどほどにした自然派健康住宅ですか・・・
でも、暖かい家にはしたいですよね。
家全体が暖かくない家(室温が19℃を下回る部屋がひとつでもある家)は健康住宅ではありませんから。
暖冷房を省エネに快適にしたければ、『高断熱化』が必要となります。
高断熱化を図っても、『高気密化』が図られていなければ『漏気』により、省エネでも快適でもありません。
そして漏気は『内部結露』を招き、木材腐朽菌やカビ・ダニの発生を引き起こし、建物の耐久性を著しく低下させるだけではなく、そこに住まう人の健康を害する事になります。
高気密化を図ると、『24時間計画換気』が必要になります。
環境が整い、漏気を除く自然換気(パッシプ換気)が可能であれば機械換気である必要はありません。
前者にしろ後者にしろ、計画換気がきちんと機能するための必要条件は『高気密化』です。
建物の隙間を併せた面積(総相当隙間面積)を実質床面積で除した値(C値)で言えば、1.0㎠/㎡を下回る性能が求められます。
(弊社では、経年による隙間の増大を考え0.5㎠/㎡を下回る性能を確保するのが適当と考えます。)
逆を言えば、C値が0.5㎠/㎡を下回らない住宅は古くなれば気密性が低下し、計画換気が機能しなくなります。
計画換気が機能しない住宅は、シックハウス症候群やカビ・ダニに悩まされる危険が高まり、大きな地震を心配しなければなりません。
内部結露により断熱材の効果を発揮できなくなった住宅は、省エネでも快適でもありません。
結局、気密化を怠った事で、本来の目的が何一つ果たせない・・・。
そうならない事を祈ります。
まずはC値0.5㎠/㎡以下の気密性能を確保しましょう。
さあ!
いよいよ気密性能測定です。
皆さんの前で測定を行います。
結果はどうなる?