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10月9日に開催される『FPの家 H邸/気密測定見学会』に備え、今週は『気密』に関するネタをご紹介します
今回は、掘清孝 著『よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』から抜粋・加筆・修正させて戴きました。
内部結露を防ぐためには、
①室内側に防湿・気密層を設ける事が大事である。
②壁内に入った湿気を早期に排出することが内部結露防止に大事であり、外壁通気層工法が効果的である。
③室内外の透湿抵抗を高くすればよい。
といったことがセオリーとして認知されています。しかしこれに反した建物も非常に多く建てられています。
その代表例が次に挙げる5つとなります。
これらの建物はすべて内部結露しているのだろうか?
という疑問がわいてきますが、実際に結露はあまり起こっていません。
起こっていたとしても、断熱材の施工不良等による限定的な場所でしかありません。
この図では、材料の透湿抵抗の高さを堤防と考え、室内外の堤防がどの程度であるのかを表しています。
内部結露を防ぐためには、室内側の透湿抵抗値を高くすることがセオリーですが、逆転している工法もあります。
CとEは逆転している工法です。
すべてがセオリー通りとは限りません。このことをどう考えるべきでしょうか。(ここで説明しているのは温暖地での事であり、寒冷地での事ではありません。)
ちなみに弊社が建てる『FPの家』はAの工法に当たります。
室内側の防湿気密シートの代わりに、透湿抵抗の高いウレタン断熱パネルが湿気の侵入を防いでいます。
堤防の考え方を簡単に説明させて戴きます。
内側の堤防は高い程、壁内への湿気の侵入を防いでくれます。
反対に外側の堤防は低い程、壁内に侵入した湿気を屋外に排出してくれます。
ですから、
Aの場合は湿気が入りにくく、入った湿気はすぐに排出される。
Bの場合は、湿気が入りやすくく、入った湿気が排出されにくい。
Cの場合は、湿気が入りやすく、入った湿気は排出されにくい。
Dの場合は、湿気が入りにくく、入った湿気は排出されにくい。
Eの場合は、壁内が室内扱いとなっていて、湿気は換気により排出される。
となります。
断熱材の中外に温度差がある場合は、結露が発生する事になります。
さあ!あなたなら、どの工法を選択しますか?
引き続き、内部結露の恐ろしさが書かれたコラムをご紹介します。
同じ本から抜粋させて戴きました。
自然のサイクルはそう長く結露を引き起こす環境を維持し続ける事はありません。
しかし一旦内部結露を起こすと、その水分が蒸発するまでは気化熱が発生し、材料は低温のまま据え置かれる事になります。
そう、内部結露の連鎖が始まっているんです。
内部結露は一旦発生すると建物にとつて非常に怖い病気となります。
その理由は気化熱にあります。
気化熱とは液体が気体になる時に周囲から吸収する熱の事です。
風呂上がりにそのままでいると体が冷えて風邪をひきます。
これは体についた水分が気体になろうとする時に、体表面から熱を吸収することによって起こるんです。
では建物で結露が発生するとどうなるのでしょうか。
次の図のように、夜に結露を起こしたサッシは午前中1~2℃位までしか温度が上がりません。
これは、表面結露で出来た水滴が気化しようとして、アルミサッシの温度を下げているからです。
ようやく全ての水滴が気化した時に、初めてアルミサッシの材料温度は周囲の温度に同化する事が出来ます。
つまり一旦表面結露が発生すると、その水滴が無くなるまではその付近の材料温度は低いままなんです。
これはどういった事を意味するのでしょうか。
私達は、突然の雨で服を濡らす事があります。
しかし暖かいところに入って乾かせば、その服が傷む事はありません。
しかし、いつまでも濡れた服をそのままにしておけばカビが生え、変な臭いもしてきます。
建物も全く同じです。
一度や二度、壁の中が結露しても、それが乾けば建物には何の損傷も与えません。
でも濡れた服をそのままにしておくとカビ臭くなるように、建物に使われている木材や金属が腐ってしまいます。
これが内部結露の果てにやってくる木材腐朽や金属のサビなんですが、常に木材や金属が乾かない状態になってしまう原因は『気化熱』にあるんです。
「内部結露なんて大丈夫!循環した空気が守ってくれるよ。」なんてタカを括り、舐めてはいけません。
本当に怖いのは、たった一回の内部結露から派生する『気化熱による低温の持続』とそれによる『内部結露再発のサイクル』なんです。
いかがでしたか?
知れば知るほど怖くなりますよね。
気密・防湿の大切さ、ご理解戴けたでしょうか。
さあ!
いよいよ気密性能測定です。
皆さんの前で測定を行います。
結果はどうなる?
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