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飛び石連休となりました。
一昨日休んだばかりというのに、今日は定休日。
なんだか、申し訳ない気分です。
朝から、古い本を開いています。
1988年4月刊
吉田あこ 編
高齢化時代の住まいづくり
ページをめくると『適温』という文字が目に留まりました。
冒頭の文だけ、書いてみます。
石油危機の頃、夏になるとテレビの画面にしばしば「貴方のお宅は28℃以上になっていますか?」という政府広報のテロップが流れた。
冬には同じテロップが数字だけ変わって18℃以下になった。
繰り返し繰り返し目の前に現れる単純な視覚情報にはとても暗示を受けやすい。
その上おかみには弱い心情をまだ大なり小なり残している私達である。
熱帯夜にクーラーをかけながら、後ろめたい思いをしたり、食後の団欒の中で慌てて暖房を弱に切り替えたりした家庭も多かったに違いない。
以下、略
政府広報のこの対策に対して当時のアメリカが採ったEBTRによる対策を比較し、最後はこの言葉で締めています。
『適温を選ぶ自由は決してぜいたくではない。』
実にまっとうなご意見です。
この章を読んでみて、まず驚いたのは
ヘェ-、こんな時代から冷房は28℃で暖房は18℃だったんだぁー。
でした。
根拠のある数字だったんですかね?
そして、もうひとつ思った事があります。
この中では、この温度では快適ではありません。
省エネも大切ですが、快適さを優先させましょう。
お歳寄りや健康を害している人はなおさらです。
みたいな事が書かれています。
もちろん正論です。
寒さは病人をつくります。その結果が今の医療費・介護費の増大でした。
我慢の省エネでエネルギー費は抑制できたかもしれませんが、そのツケを税金で払っているんです。
断熱・気密をしっかりとした家であれば、ここでいう環境は決して不快ではありません。
家の中はどこも温度差がなく、床・壁・天井の温度も室温と同じになっていて、表面放射により均一な温熱環境が守られています。
このタイミングで旧省エネ基準が生まれたようですが、もっと踏み込んで今の省エネ基準レベルを目標として掲げていればと思います。
もっとも、義務化していなければ同じ結果だったかもしれませんが・・・。
COP21(パリ協定)がいよいよ批准され、石油や石炭などの使用が難しくなった時、政府広報はどんな手を打つつもりでしょうか。
まだまだ不十分な現行の省エネ基準ですが、それすらも我が国の住宅ストックに占める割合はわずか6%程度。
このまま国家を挙げて省エネモードに進んでいけば、医療費・介護費は益々増大し、国民負担は増えるばかりでしょう。
太陽光発電を始め再生可能エネルギーの使用比率を高めたり、省エネ家電の使用を図るのは大いに結構ですが、何よりも建物の外皮性能の向上と生活スタイルの変革が望ましいと思います。
例えば、日の出と共に働き始め日の入りには仕事を終える。
お風呂は家族でまとまった時間に入り、一緒に食事を採る。テレビなどの団欒も一緒です。
こうした生活は快適でありながらエネルギーの消費を抑制する事が可能です。
ゼロエネルギーライフ(ZEL)と評した著名人がいらっしゃいましたが、まさにその通りです。
我が家も、心掛けたいと思います。
古い本を開くのも悪くないですよね・・・。
posted by Hoppy Red
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