木のアレコレ

久し振りに『木育』ネタを書きたいと思います。

少し固い話になりますが、日曜日ですからいいですよね。

時間のある方は、是非読んでみてください。


木材は鉄やアルミニウム等に比べて材料製造時の炭素放出量の少ない省エネ材料です。

木造住宅1戸当たりの材料製造時の炭素放出量は鉄骨プレハブ住宅などよりも低位であると言えます。

また、木材の乾燥重量のおよそ半分は炭素です。

森林は空気中の二酸化炭素を吸収し炭素を貯蔵していますが、木材そのものも伐採後に利用される過程で森林と同じように炭素を貯蔵してます。

木材製品・木造住宅を増やすという事は、地杞憂温暖化の抑制に繋がります。

木材は『植える→育てる→収穫する』というサイクルで、

森林が適切に循環する事により、半永久的に再生産できる優れた材料です。

また廃材から新たな製品を作ることが出来る循環可能な材料でもあります。

植える→育てる→収穫するという森林のサイクルがうまく循環すれば、国土保全・水源涵養・土砂災害の防止等の森林が持つ多様な機能の発揮に繋がります。

我が国は国土の約2/3に当たる2500万haが森林で、そのうちの約4割が人為的に造林等を行った人工林となっています。

樹種別にみると、人工林1035万haのうちスギが43%と最も多く、次いでヒノキが25%となっています。

森林蓄積は、森林の約4割を占める人工林を中心に毎年増加しており、総蓄積は約44億m3となっています。

人工林の材齢構成は、45年生以下のものが6割以上を占め、保育・間伐等の手入れが必要な状況にあります。

10年後には約6割が46年生以上の資源として利用可能な材齢となり、本格的な利用可能期を迎えます。

この事からも、今後は更なる木材の利用を推進する必要があり、持続可能性に配慮した木材を適切に利用する事で、国内森林整備に繋げたいものです。


木材の輸送にかかるエネルギー消費によるCO2排出(ウッドマイレージCO2)を抑制する観点からは、地域材を活用する事が大切です。

地域材の活用は、地球環境の観点だけではなく地域での雇用創出・地域活動の活性化等に貢献する点で大きな可能性を秘めています。

ここで環境負荷に関する試算をしてみましょう。

住宅生産時の構造別CO2の排出量は以下の通りです。

①木造・・・平均約230kg-CO2/㎡

②鉄骨造・・・平均約410kg-CO2/㎡(木造の1.8倍)

③RC造・・・平均約550kg-CO2/㎡(木造の2.4倍)

木造を建設する事でRC造に比べれば、建設時のCO2排出量を320kg-CO2/㎡も削減する事が可能という事です。

例えば、延べ床面積120㎡の住宅をRC造から木造に変更するだけで、その削減効果は38.4tにもなるそうです。

木材中の炭素固定量は、木材実質重量の1/2が炭素であり、木材の平均密度を400kg/m3とすると、200kg-C/m3となります。

これをCO2の固定量に換算すると、733kg-CO2/m3となります。

例えば木造施設の木材使用量は約0.25m3/㎡ですから、延床面積120㎡の住宅では30m3(22t)となります。

以上を合わせると60.4tのCO2固定・削減となりますが、この量をガソリンのCO2排出量に換算すると27klになります。

CO2×1tを約1600円の価値(日経・JBIC排出量取引参考気配を参照)と仮定すると、9.6万円となります。

植物としての木の寿命は、長いもので2000年以上。

私達人間の何倍も、何十倍も生きるのです。

こうして森で生きてきた木が伐られると

今度は木材としてその木が生きてきた年月と

同じくらいの時間を過ごすことができます。

「木は最初、樹木として森の中で生き、二度目は、木材として人とともに生きるのです。」

ですからも木材は『第二の森林』と云われています。

そんな樹木ですが、ある程度の材齢を過ぎるとにCO2の吸収が少なくなってしまいます。

こうした時期を迎えた樹木は、伐採し新たな樹木を植え、育てる必要があります。

植える→育てる→収穫するという森林のサイクルを繰り返す意義はここにもあります。

地域産材を有効に活用し、人工林の運営をスムース゛に行う事で、地球温暖化を防ぐ。

そして、健康や快適さを得る。

木材と人間の正しい関係、思い出していただけたでしようか。

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