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昔は時間にゆとりがありました。
家づくりの話です。
まずは木材を何年も寝かせていました。
乾燥させたものを使う。
これが常識でした。
腕の良い大工さんは、そうした自然乾燥材を一本一本吟味します。
そうして手に入れた材木を、さらなる乾燥による収縮(乾燥減り)を計算に入れながら手で刻みました。
ゆっくりと家は建てられます。
構造が組上がり、屋根が掛かった状態で、さらに何か月もの間そのままにしておきます。
内装に取り掛かるのは、完全に乾燥させてから・・・。
しっかりと木材を乾燥させる事が、昔の大工さんの知恵だったようですね。
こうして乾燥された木材は、現代の数値で表現すれば『含水率15~18%』になっていたそうですよ。
木材は反ったり捻じれたり割れたりします。
これは木材に含まれている水分が主な原因です。
木材は水分を吸収すると膨張し、乾燥すると収縮しようとします。
伐採したばかりの木には、たっぷりと水分が浸透しています。
その水分は時と共に蒸発していきますが、木の繊維方向によって収縮の割合が異なります。
これこそが、木材変形の原因です。
木本来の重さと、中に含まれる水分の重さの割合を『含水率』といいます。
含水率が30%を下回ったあたりから、木の繊維に含まれた水分が蒸発を始めるといいます。
それにつれて徐々に木材は変形を始めます。
つまり、木材は含水率30%から変形が始まるという訳です。
今は工期短縮やコストダウンが叫ばれる時代です。
木材をのんびりと自然乾燥させる時間はありません。
構造体をゆっくり乾燥させる時間もないでしょう。
未乾燥木材で建ててしまえば、大変な事になってしまいます。
どんなに大工さんの施工技術が優れていても、木材が徐々に変形し始め、2年もすれば家全体に様々な影響が出てくることでしょう。
床が傾いたり、壁にひびが入ったり・・・。
こんな現象は「木造住宅だから仕方ない。」わけではありません。
未乾燥木材を使っているから悪いんです。
こうした家は、ゆがみやひび割れから接合部分に歪みが生じ、家自体の強度を徐々に失う事になります。
つまり未乾燥木材を使った家づくりは、家自体の寿命を短くしているという事になります。
でも、ご安心ください。
現代技術を駆使した、『人口乾燥木材(KD材)』や『構造用集成材(エンジニアウッド)』があります。
こうした木材を使った家づくりには、次のようなメリットがあります。
①地震に強い(乾燥させると強度が高まる)
②築後のトラブルが少ない(縮みや狂いが少なく品質が一定)
③家の寿命が延びる(腐食や災害に強い)
④カビ・腐朽菌が繁殖しにくい(含水率が18%以下は菌が繁殖しにくい)
⑤無垢材なので人にやさしく健康的
⑥輸送・加工・施工が容易(軽くて寸法精度が高い)
構造材は、いわば家の『骨』にあたります。
丈夫で収縮のない材料を使う事が必須条件です。
家づくりをお考えの皆様は、この話を忘れないでください。
「構造材は、含水率18%を下回るものを使ってください。」
この一言が大切だと思いますよ。
posted by Asset Red
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