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今日の練馬・板橋は暖かいですよ。
『FPの家 I邸』
少しづつ、ウレタン処理や気密処理が進んできました。
写真は、筋違入りFPウレタン断熱パネルの筋違端部に筋違プレートを取り付けたところを撮ったものです。
表面に貼られたクラフト紙のお蔭で筋違、見えませんね。
でも大丈夫。触ってみればわかります。
写真でもなんとなく見えるかもしれません。うっすらと透けて見えるんです。
ここで本題から逸れますが、『気密』について簡単に説明したいと思います。
家の中の空気が家の外に漏れないようにする事を気密性を高めると言います。
といっても換気扇やエアコンのドレンホース・サッシ等、どうしても必要な穴もありますよね。
こうした予期できる隙間以外の『予期できない隙間』を無くす事が気密性を高める事になります。
壁の穴を塞ぐ、電話線やアンテナ線を通す為のCD管の穴を塞ぐ、電気配線・ガス配管・水道配管との取り合いに出来た穴をふさぐ等々。
空気が通らない為には、『防湿・気密シート』を利用するのが一般的です。
ポリエチレンで出来たシートを切れ目なく連続させ、配管との取り合いはアルミテープでしっかりと貼り合わせます。
とにかく、あらゆる隙間を無くさなければなりません。
先程、防湿・気密シートという言葉が出てきました。
気密の次は防湿?
防湿って何?
答えは簡単です。
気密の対象は空気ですが、防湿の対象は水蒸気(湿気)となります。
壁の中に空気や水蒸気が侵入すると、せっかく暖めた空気が逃げてしまうだけではなく、壁内結露を引き起こす危険が高まります。
ですから、空気や湿気の侵入を阻止するための施工が必要になる訳です。
水蒸気の大きさは空気の大きさよりも小さいため、水蒸気が通らないシートを使ってこうした施工を行えば空気も通しません。
つまり、防湿が出来るシートは気密もできるシートという事。
ですから防湿・気密シートと言います。
私達はつい「気密性を高めよう!」とか「気密は大事!」なんて言ってしまいますが、正確に言えば『気密』の部分を『気密・防湿』と言わなければならないんです。
本題に戻ります。
FPパネルの中に充填されているのは『硬質ウレタンフォーム』です。
25トンの圧力を加えてプレスしている為、吸湿性はかなり高くなっています。
現場発泡ウレタンや繊維系断熱材と違い、湿気を吸う心配がかなり少ないのも特長のひとつです。
ですから、ウレタンの面には防湿・気密シートを貼る必要がありません。
その代わりに、パネル相互やパネルと構造材、パネルとサッシ枠などに防湿・気密性能の高いアルミテープを貼らなければいけません。
先程の写真では、筋違金物を取り付けるために、予めその部分のパネルと柱の継ぎ目にアルミテープを貼っていた訳です。
時期が来たら他の部分もアルミテープで貼りますが、金物を貼る為の先行処理をしていました。
写真はパネルの開口部分に断熱サッシを取付け、隙間部分に現場発泡ウレタンを充填したところを撮ったものです。
この部分も、後日固化したウレタンを切削しアルミテープによる気密処理を行わなければなりません。
それほど防湿・気密処理は慎重に行う必要があるんです。
なぜなら、壁内結露は木材腐朽菌やシロアリの繁殖を引き起こし、建物の耐久性を低下させるから・・・。
壁の中がこんな事にならない為には、防湿・気密施工は絶対必要です。
壁内結露が起きやすい壁の構造イメージを示しました。
こうならないようにするには、こんなイメージの壁構造にしなければなりません。
簡単に言えば、こうなります。
①室内の湿気を壁内に入れないように、防湿・気密シート等を利用した防湿・気密施工を徹底する。
②断熱材は吸湿性が低く、放湿性が高いものを採用する。
③侵入した湿気が速やかに外気に排出できるような構造にする。
知っていますか?
『結露判定ソフト』を使えば、採用する壁構造が結露を起こすかどうかがわかります。
試しにやってみましょう。
壁を構成する部材をにA~Hがあります。
それぞれに該当する部材を決定します。
Aは窯業系サイディングとかモルタル吹付とか・・・
Bは通気胴縁の厚さ
Cは特別なケースでない限りそのままにしてください。
透湿性の高い外装材なを採用し、通気工法を採用しない場合には
AおよびBは結果に反映しませんから、該当無しでも構いません。
Dは外壁合板の種類と厚さを入れます。
合板を張らない場合は該当無しとなります。
Eには断熱材の種類と厚さが入ります。
壁厚さに対して断熱材の厚さが小さい場合は、空気層を設ける位置も決めてください。
一般的には外壁側となります。
Fは防湿・気密シートを施工する場合、厚さと種類を入れます。
Gはこのままでいいと思います。
構造用合板やその他の部材を採用する場合は、種類・厚さを入れます。
Hは内装仕上が入ります。
紙クロス・ビニールクロス・珪藻土等々・・・。
でも、一般的には入れません。
そして、それぞれの熱伝導率と透湿抵抗を入力します。
真冬のリビングを想定し、条件として
外気温度:0℃/相対湿度50%
室内温度:25℃/相対湿度30%
としました。
さあ、入力完了です。
果たして、その結果は・・・。
まずは
①建売等で採用されている仕様です。
A:不問
B:不問
C:透湿防水シート(0.2mm)
D:針葉樹合板(9mm)
ここに空気層:5mmが入ります。
E:グラスウール(16K)×100mm
F:防湿シートなし
G:石膏ボード(12.5mm)
H:ビニールクロス
結果はNGとなりました。
グラスウールと空気層・及び空気層と針葉樹合板の間で結露が発生します。
残念ながら内部結露が発生する壁構造のようですね。
試しに、Dの針葉樹合板をやめてみましょう。(その分、筋違の本数を増やす必要はありますが・・・。)
結果はとOKなりました。針葉樹合板は透湿抵抗(湿気の通しにくさ)が高いため、結露を招きやすい事がわかります。
次に合板はそのままにして、Fに防湿シート0.2mmを加えてみます。
結果はOKとなりました。また結露発生の可能性も合板を止めた場合よりも低くなっています。
続いて
②最近よく見かける仕様です。
A:不問
B:不問
C:透湿防水シート(0.2mm)
D:針葉樹合板(9mm)
E:現場発泡ウレタン×60mm
ここに空気層:45mmが入ります。
F:防湿シートなし
G:石膏ボード(12.5mm)
H:ビニールクロス
結果はOKとなりました。
但し外気温が1℃下がるだけで、断熱材と針葉樹合板の間で結露が発生します。
残念ながら内部結露が発生しやすい壁構造のようですね。
試しに、Dの針葉樹合板をやめてみましょう。(その分、筋違の本数を増やす必要はありますが・・・。)
結果はとOKなりました。針葉樹合板は透湿抵抗(湿気の通しにくさ)が高いため、結露を招きやすい事がわかります。
次に合板はそのままにして、Fに防湿シート0.2mmを加えてみます。
結果はOKとなりました。ただ結露発生の可能性は合板を止めた場合の方が低くなっています。
最後に
③FPの家の仕様です。
安心してください!
合板の有無に関わらず、OKでした。
もちろん、防湿・気密シートは使いません。
FPの家の優位性、ご理解いただけたかと思います。
ただし、全ての仕様に言えることですが『防湿・気密』施工の精度によって、話は違ってしまいます。
隙間が多ければ多いほど、より壁内結露の危険度は増してしまいます。
やっぱり、丁寧な施工は必要です。
そして、『気密測定』による確認も絶対必要だと思いますよ。
また部屋の湿度を高めると、結露の可能性は高くなってしいます。
ガスストーブの使用や加湿器の多用は、要注意ですよ。
結露判定ソフトの入力は極めて簡単です。
色々な壁構造の結露判定が、アッという間に行えます。
みなさんも、事前の確をした方が良いと思いますよ。
良く見かける壁構造、意外と結露を招きやすい構造だったりします。
怖いですよね・・・。
posted by Asset Red
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