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朝から現場を回っていて、目がテンになるような施工を目にしました。
ポカーンと開いた口が塞がらない体験です。
ひとつ目は完成現場近所にて基礎工事中の建売現場です。
敷地と駐車スペースに高低差がある現場です。
深基礎になっているんですが、鉄筋の配置を間違えたのか縦筋が露出しています。
かぶり厚さ0mm状態、かなりマズイ施工ですよね。
ジャンカも見受けられます。
アンカーでも打ち付けて、コンクリートの増し打ちをするつもりなんでしょうか?
隠す事もしていません。何か意図があるのかも知れませんね・・・。
不可解な現場です。
続いて、解体中の現場です。
既に小屋組は無くなっていました。
築30年のこのお宅。建売住宅だったそうですが、天井断熱はありませんでした。
ビニールクロスを貼って仕上げられた厚さ5.5mmのラワンベニアを外すと、小屋組が見えるだけ。これでは寒いはずですよね。
壁には厚さ50mmのグラスウール(10K)が入っています。
かなり雑な施工で、断熱材はたわんでいます。
梁と断熱材の間には5cmほどの隙間が空いていました。
もちろん、黄色かった断熱材は黒く変色しています。
隙間だらけの施工です。
壁の中では上昇気流が常に起きていて、埃などが断熱材内部に詰まったんでしょう。
ご存知ですか?
繊維系断熱材は、その施工の仕方により大きく性能が異なります。
上図は壁の断熱施工による性能差を示したものです。
本来の施工であれば100%の性能を発揮できるんですが、先程の写真のようにたわんでいる状態では84%しか発揮できません。
隙間があれば、67%になってしまいます。
もっともあれだけ大きく隙間があれば、もっとひどい数値が出るでしようが・・・。
ちなみに、天井の場合だとこうなります。
天井の方が、施工による性能差が大きいようですね。
でも目がテンになったのは、こんな事ではありません。
次の写真をご覧ください。
断熱材を剥がした写真です。
白く見えているのは、防火サイディング(窯業系)の裏側です。
ちなみにカビていました。
結露していたんでしょうね。
もちろん、通気胴縁の施工はありません。
当時は、躯体に直接サイディングを留める施工も多かったんですよね。
でも変じゃありませんか?
なんでサイディングの裏側が見えるの?
そうなんです。
通常貼られている『防水シート』の施工が省略されているんです。
当時は、現在使われている『透湿防水シート』ではなく『アスファルトフェルト』という黒い紙を貼るのが当たり前でした。
この紙を貼る事で、サイディングやモルタルを透過した雨水の躯体への侵入を防いでいたんです。
防水紙の施工を省略した建物なんて、初めて見ました。びっくり・・・。
よく漏水しなかったものです。凄い!?
こんな手抜き施工でも、30年持ちこたえる事ができるんですね。
このお宅の場合、天井の断熱がありませんでした。
恐らく床の断熱もないと思います。
冬の間中、イラストの家以上に冷気が床から侵入し、天井から抜けていたと推察されます。
夏は、太陽の熱が天井をそのまま透過し、容赦なく照りつけたでしょう。
でもこうしたスカスカの構造が、結露による躯体の腐朽を防いでいたことにもなります。
躯体内に侵入した水蒸気は、壁内に発生した上昇気流により天井から小屋裏を通り、排出されていたのでしょう。
でも、その分省エネではなく、快適さと縁遠い建物であった事でしょう。
健康被害の恐れもあったと思います。
上のグラフによれば、無断熱の家やS55年基準の家が全体の76%を占めるそうです。
住宅ストック約5000万戸の76%と言えば、3800万戸です。
これだけの家が写真のような状況にあるわけですから、断熱・耐震改修の必要性は高いですよね。
posted by Asset Red
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