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有限会社松尾設計室 代表取締役 松尾和也氏 が書いています。
この方の記事は大変に勉強になります。機会があれば、いつも読ませて戴いています。
今回は、元稿の一部だけを転載・一部修正させていただきました。
興味のある方は、下記ページにある元稿をご覧ください。
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00095/
それでは、樹脂スペーサーに関わる部分をご覧いただきます。
複層ガラスを構成する部材「スペーサー」について
ガラスを2枚重ねる場合、間に空気層を設けます。
空気はガラスよりも熱を伝えにくく、空気があることで窓全体の断熱性能が向上します。
その空気層を設けるため、ガラスの周囲に挟み込む部材がスペーサーです。
日本製の複層ガラスのスペーサーは、ほぼ100%がアルミでできていて、これは物理的に考えるとあり得ない話だと思います。
そもそも断熱性能を上げるためにスペーサーを使っているはずなのに、その部材が熱を通しやすい材料で作っているなんて・・・。
いま欧米では、樹脂とステンレスを複合して作った樹脂スペーサー(ウォームエッジともいう)と呼ばれる部材が徐々に拡大しています。
樹脂スペーサーの使用は窓全体の性能向上につながりますし、それ以上に結露を防ぐという面で大きな意味を持ちます。
どんな窓でも最も結露する可能性が高いのは、下枠とガラスが接する近辺です。
理想的な冬の室内環境は、室温が20℃で相対湿度が50%程度とされていますが、この状況で外気温が低いと、『アルミと樹脂の複合サッシ』は結露が発生するかもしれません。
結露が発生するかどうかは、枠が樹脂や木なのか、それ以外なのかでほぼ決まります。
枠とガラスの断熱性能を比較した場合、一般的には枠の方が低いので、 結露が生じるかどうかは枠の性能によるところが大きいんです。
ちなみに上記の室内環境で外気温が0℃であれば、結露が始まる温度(露点)は9.3℃となります。
アルミ枠の多くは結露してしまいます。
このグラフを見れば分かるように、アルゴンか否かによる下枠表面温度の差はせいぜい0.2~0.3℃程度しかありません。
左がアルミスペーサー、右が樹脂スペーサーを使用した複層ガラスです。
ガラス周縁部に結露が多いのは、スペーサー及びフレームの断熱性能が大きく影響していたんですね。
また一般的な複層ガラスの空気層には乾燥空気が封入されていますが、これをアルゴンガスに替える事でガラス中央部の断熱性能は向上しますが周縁部では効果が無いという話は初耳でした。
やっぱり、勉強になります。引き続きよろしくお願いします。
でも樹脂スペーサーって、防火窓には使えないんでよね・・・。残念!