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昨日の気密性能測定の際に、お客様が呟かれた一言です。
「C値とか、総隙間面積とか言われてもピンと来ないのよね。」
「普通の家はどのくらいなのかしら。」
「例えば、RC造の共同住宅のC値はどうなの?」
そうですよね。
比較しないとわかりませんよね。
「私が以前に関わった建売住宅のC値は7~8㎠/㎡くらいだったと思いますよ。」
今から20年以上前の話です。
新断熱基準で作られた家の気密性能測定を行ったことがあるんです。
外壁合板もフローリングの下の捨て張り合板も行っていない時代です。
当然気密施工なんて考えた事もありませんでした。
「RC造の建物の気密性能は0.6㎠/㎡くらいだと聞いたことがあります。」
「最近の木造住宅の気密性能だって、割と良くなっているらしいですよ。」
と私が言うと、気密測定技能者のK氏は反論します。
「確かに、気密性能の高い木造住宅もあります。」
「でも経験論から言えば、全体的にはまだまだのレベルですよ。」
『住宅の次世代省エネルギー基準と指針』の中に、こんな図がありました。
上図は、『意図しない気密化の危険性』と題された文章の中にあるものです。
参考までに一部を転載させていただきます。
温暖地における住宅気密化の必要性は、かねてから多くの議論の対象となっている。
しかし在来木造工法などの壁内通風のある構造で充填断熱した場合には、断熱性能の低下や漏気による内部結露を防ぐための手段として、断熱構造部の防湿・気密化する事の必要性は、住宅そのものの気密化の是非とは異なるものである。
また最近は『空気質の保持』という観点から気密化すべきでないという意見も多い。
しかし少なくても、施工の効率化・断熱に限らず住宅性能の向上が求められ、全国的に使用材料の乾式化・開口部などを始めとする高性能部品の普及が急速に進み、『意図しない気密化』が確実に進行しているのも事実である。
先程の図は既往の気密性能調査結果などを基に、各住宅構造別に標準的施工を行った場合と何らかの気密化を行った場合の分布概要を示したものである。
RC造・枠組壁工法(2×4)・合理化工法/プレカット工法・外張断熱工法などは、意図しなくてもそれ自体かなり高い躯体気密性能を有しているものが多い。
つまり何らかの対策を講じなければ必要換気量を確保できない住宅、『意図しない気密住宅』であり、断熱化に伴う防露対策や十分な換気計画がなおざりになっている傾向にある。
まだまだ文章は続きます。
気密化の必要性を認めない方々に対して
「そんな事言ったって、住まいの気密化は進んでるじゃない。」
「いまさらアルミサッシの流通や、外壁合板・床の捨て張り合板の施工などの採用を止めるの?」
「意図しない気密化が進んでいるのに、換気や内部結露対策をなおざりには出来ないでしょ。」
「中途半端な気密化が一番危険だよ。」
「だったら、しっかりと気密化をしようよ。」
簡単に言えば、こんなストーリーでしょうか。
次世代省エネルギー基準の中では、しっかりと気密性の重要性が謳われていたんですよね。
でも現行の省エネルギー基準には、気密化のキの字も見る事はできません。
構造・工法的に気密化が難しい一部の大手ハウスメーカーからの強い圧力があったのでは・・・。
なんて噂も聴こえてきたりしますが、全ては藪の中なんですよね。
上図を見てみましょう。
在来木造および鉄骨造の充填断熱工法のC値は、なんらかの気密化を行った場合で1未満~5未満。気密化を行わない場合で5超~10超となっています。
これが外張り断熱工法であれば、1未満~2程度。無気密施工でも2超~5超程度。
RC造(共同)では、1未満~2超程度。
私の認識は当たらずとも遠からずといったところでしょうか。
posted by Asset Red
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