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基礎工事の様子をアップします。
今回は墨出しという作業です。
墨出しとは、工事中に必要な線や位置などを床や壁などに表示する作業です。
大工さんが墨つぼを用いて墨で表示することから、『墨出し』と言われているようですね。
墨には、水平を出すために壁面に出される『陸墨(ろくずみ)』や、柱や壁の心の位置を示す『芯墨(しんずみ)』、構造芯や仕上げ面などから一定の距離を離したところ出す『返り墨』や『逃げ墨』などがあります。
今回は、型枠の位置を出す為の墨を捨てコンクリートに表示してきました。
まずは、水貫に掛かれて基礎の中心線に合わせて水糸を張ります。
張り渡した水糸に下げ振りを掛け、先端の位置を捨てコンクリートにマークします。
ここで墨壺の登場です。
先端に針のついた糸が10mほど巻かれた道具です。
写真左側が本体になります。
ダイヤル状の丸い取っ手を回すと、糸が出たり引っ込んだりします。
本体の扉を開けると中にはスポンジが入っていて、その中を糸が通っています。(写真は扉が空いている状態になっています。)
このスポンジに墨汁を染みこませておけば、引き出した糸に墨汁がつく仕組みになっています。
マークした2点の一点に墨壺の先端についた針を合わせ、糸のもう一方を別の一点に当てます。
糸をピーンと張り、中央部を真っ直ぐ上に引揚げます。
そのまま指を離せば、墨汁を吸い込んだ糸が捨てコンクリートにぶつかり真っ直ぐな線を引いてくれる訳です。
多少の凸凹や段差があっても、墨を真っ直ぐに引く事が可能です。
こんな感じに、基礎の中心線と型枠の内側の線を表示しました。
墨壺の歴史は古代エジプトから始まるそうです。
上のイラストは、昔の大工さんが使っていた墨壺と墨差しです。
こうした、墨壺・糸・糸車のすべてを一体化したものは古代中国で発明されたものと考えられているようですね。
日本では、法隆寺に使われている最も古い木材に墨壺を使って引いたと思われる墨線の跡が残っています。
日本に現存する最も古い墨壺は、正倉院に保管されているものだとか・・・。
1990年代になりレーザー光線により直線を表示する装置が販売されるようになると墨壺・墨指しの利用は激減しました。
小型プラスチック製墨壺の登場で、ますます墨壺は建築現場から姿を消しつつあります。
私が子供の頃の大工さんのイメージと言えば、道具箱とキセルでした。
そして道具箱の中には、不思議な形状をした墨壺が大事そうに納まっていたものです。
風情があって良かったなぁー。
posted by Assed Red
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