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適度の弾力があり、歩きやすく疲れにくい床っていいですよね。
こうした特徴を持つ木材は、床材に適した材料だと思います。
人が床の上を歩く時の歩きやすさは床の硬さと摩擦が関係しているそうです。
石畳やコンクリートのように固い床材の上を歩く時、足は全ての衝撃力を受ける事になります。
足首や関節にかかる負担は大きく、歩きにくい。
当然疲れやすくなります。
一方、極端に厚いカーペットの上では床に加わる力が不安定となり、体を支えるために余計な力が必要となります。
やはり歩きにくいと感じるでしょう。
滑りやすい床も危険です。
滑らないように、足元に集中する必要があります。
室内を素足で歩く習慣が永くあった我が国で、床に適した材料は畳みと木材だと思います。
適度に摩擦があり、軟らか過ぎず硬過ぎない。
歩きやすい床材として古くから好まれてきました。
木材が適度な硬さを持っているのはパイプを束ねたような構造によるものです。
上図のように材面に体重が掛かった時、その下の表面付近のパイプの中空部分がわずかに凹んで変形します。
また床の硬さ感や歩行感は、床表面の性質だけではなく下地材や床構造によっても異なります。
木材床の場合、硬さ感は材表面の局所的なくぼみによる硬さと共に、たわみによる床の沈みの程度によって決まることが多くなっています。
床を支える根太の間隔が広がるとたわみ量が大きくなるため、歩行感は悪くなります。
床に衝撃が加わった際の衝撃緩和作用も重要です。
木の床は飛び跳ねる際の衝撃によって適度にたわみます。
そして柔軟な戻りによって衝撃を和らげ、木材の局所的なくぼみによって吸収します。
どちらの変形も木材の持つ粘弾性による衝撃緩和と言えるでしょう。
粘弾性は読んで字の如し、バネのように跳ね飛ばす性質(弾性)と水や油のようにある程度の粘度で流れる性質(粘性)とを兼ね備えた性質です。
ゴムやプラスチックなどの人工材料や木材・絹・羊毛などの天然繊維、餅や蒲鉾のような食品も粘弾性という性質を持っています。
この性質は、材料を形作る高分子が互いに摩擦することによって衝撃や振動のエネルギーを消費するからだと言われています。
床は滑らかであっても、過度に滑りやすいのは危険です。
居住者が高齢であれば、床の安全性は重要です。
歩きやすく、転倒しにくい。
転倒した場合にも怪我をしないようにする。
その為には適度な剛性と表面の摩擦抵抗が必要です。
縁甲板を含め塗装しない木質フローリングは、この目的に合致しています。
濡れた時に滑りやすい床材料は避けた方が良いでしょう。
プラスチックタイルやCFシートは濡れた時に滑りやすいので注意が必要です。
佐道 健 著
木がわかる
しっておきたい木材の知識
学芸出版社 刊
より抜粋させていただきました。
posted by Hoppy Red
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