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前回の続きです。
秋田県大曲の2日目は生憎の天気で始まります。
曇り空からは、時折雪交じりの雨が降る事も・・・。
風は思いっきり強くて、寒い・・・。
マフラー持ってきて良かった・・・。
でも、これが秋田なんですよね。
晴れ間を望んでも、ほぼ曇天もしくは雨。
太陽の恩恵を望むには過酷な環境です。
朝7時過ぎ、ホテルのホールに集まり能代にバスで向かいます。
途中パーキングエリアでの休憩を挟みましたが、そこそこ長旅でしたよ。
到着です。
まずは、西方先生のアトリエから見学させていただきました。
築25年なんだそうです。
杉の白太を使ったという外壁と木製窓。
25年間ノーメンテナンスという代物です。
雨風に晒され、部分的に腐食した部分もあるそうです。
そうした部分のみ交換はしたものの、無塗装のまま25年もの年月を経ていい味を醸し出していました。
「赤身だけを使うべきでした。」
「やってみないとからない。」
「新しい自邸は赤身だけを使いました。」
と先生も反省していましたね。
良く著名な工務店の方のブログに見かけるネタがあります。
外壁に使用する材料は
木材
漆喰
ガルバ(裏打ちの無い物)
の3つに限る。
というモノです。
これ以外の材料は、メンテナンス費用が嵩むので使わないと言うのです。
確かにそうかも知れません。
サイディングは10~15年で塗装およびシーリングの打ち替えが必要になります。
シーリング(目地)に至っては8年程度で寿命を迎える場合だってあり得ます。
少し費用はかさみますが、高耐候性シーリングや超高耐光性シーリングを使いたいところですよね。
そして、20~30年で張り替える事になります。
モルタル吹付の場合も、10~15年で塗装が必要になります。
シーリングの打ち替えが無い分、費用が安く済みます。
定期的に塗り替えを行えば、下地のモルタルは補修程度で済むためサイディングよりもメンテナンス費用はかかりません。
先述の3つに比べると、初期投資は少なくて済みますが30~50年を考えるとトータルコストは高くつくという事になります。
シロアリ対策や立地条件にも依りますが、今後は外壁の選択を考えないといけませんね。
箱型に片流れの外観です。
屋根の上には草が植えられ、暖かい時期はイチハツなどの緑が目を楽しませてくれます。
イメージ写真です。
屋根の上の草は、冬の暖かさや夏の涼しさも期待できるそうです。
でも、先生の場合は違う理由で『草葺屋根』を選んだようですよ。
途中のバスで仰っていました。
「この地では瓦は使えません。すぐに駄目になってしまう。」
「鉄板はかっこ悪い。」
ここで手でバツ印を作った『建築知識ビルダーズの木藤編集長』からツッコミが入ったんです。
「タニタのガルバはかっこ悪くないですよね。」
「タニタのガルバとエコテクノルーフのおかげで、能代の家もかっこよくなりした。」
バス中、笑いの渦というヒトコマでした。
「窓は建具屋さんに作ってもらいました。」
「当時はアルゴンガス入りなんて無かったので、単なるLow-E複層ガラスを採用しています。」
「当時としては最高だと思ったけど、今ではたいした事ないね。」
いえいえ、今でも充分『高断熱・高気密住宅』として通用するレベルだと思います。
気持ち良い空間でした。
中にはびっくりする位の緑があります。
「冬場の加湿対策にもいいから。」
所員が気持ちよく仕事が出来る環境でなければ、良い仕事はできませんよね。
木とカタログに囲まれた空間です。
床下に設置されたFFストーブが熱源でした。
床下を覗いてみると、ほんわりと暖かくなっていました。
外に比べると、室内は天国のように感じられました。
それほど性能の高くない窓と言っていましたが、悪くないですよね。
外から撮った写真です。
陽当たりがいいから、人間の体温と変わりありません。
1時間ほどで見学を切り上げ、次の見学地に向かいました。
手前の家は西方先生のご自宅です。
断熱リフォームをされたそうですが、『寒い家』なんだそうです。
65歳を迎えるに当たり『ヒートショックで死なない家』をテーマに作られたのが
今回見学する『リアルZEH』西方氏自邸です。
奥の建物になります。
秋田杉の赤身のみを使った外壁です。ウッドロングエコという防腐塗料にドブ漬けしてあります。
全構造ホウ酸高濃度処理と共に、防腐対策バッチリとの事。
窓を見ると、付加断熱の厚さがわかります。
これだけ窓が引っ込んでいると、庇の必要もないね。
同行していた堀部先生が仰っていました。
窓は木製および高性能アルミ嵌合サッシの併用です。
日本の製品と違い、嵌合部分の樹脂の大きさが違います。樹脂の中にはEPSも充填されていました。
フレーム部分の上にはさらにEPSと木を被せ、フレームからの熱の侵入を防ぐ工夫もしていまた。
凄い工夫ですよね。
充填+付加断熱工法を採用しています。
UA値は0.28W/㎡K
Q値は0.98W/㎡K
C値は0.3㎠/㎡との事。
凄い・・・。
しばらく前から無暖房の状態で使っているそうです。
アプローチは極めて簡素でした。
庭には小さな水飲み場がありました。
鳥の来る庭
がテーマなんだとか。
庭木はまだ小さいままでしたが、時間の経過とともに少しずつ大きくなるんでしょうね。
廊下の点検口を開けてみると、東大の前准教授が床下の温熱環境を測定する際に使った『キャスター付ボード』がそのまま置かれていました。
この上に這いつくばり、床下を撮影しまくっていたんですね。
床下エアコンです。動いていませんでした。
床下エアコンの吹き出し口近くに給気口が2つ設けてあります。
『パッシブ換気』の新鮮空気導入口になります。
ここから導入した冷たい空気をエアコンの風で暖めて、家中に供給します。
北側の高い場所に設けられた排気口から暖められた空気が排出され、無電力による換気が行われる仕組みです。
寒い季節は室温と外気温に大きな差異がある為、大きな風量が出るようですが、中間期は温度差があまりない為風量不足になるようです。
そんな時はトイレや浴室の換気扇を利用するそうです。
玄関の前には雪避けもありました。
えっ!
外壁にポストが付いている?
断熱・気密は大丈夫なの?
中から見ると、こんな感じです。
問題ないようです。
ポストの蓋を開けると、中は寒くなっています。
蓋に断熱材が入っているようですね。
玄関ドアはガデリウスのスウェーデンドアでした。
かなり性能の高い玄関ドアですが、外壁の断熱性能が高すぎて、サーモ画像を見ると寒く見えてしまいます。
基礎から外壁の厚さを写してみました。
基礎自体にも中外100mmの断熱材が貼ってあるので、その厚さは相当なものですよね。
壁・天井は、オガファーザーの上にデュブロンを塗っています。
床は秋田産杉材です。
便器の周りは大判タイルになっています。さすがです。
天井には、吸音を考えてインシュレーションボードと杉板を使った施工がなされていました。
リビングの吹き抜けも開放的で大開口窓と相まって、天然の暖房機&照明になっていました。
電動昇降&開閉する外付けルーバーは便利ですね。
防火シャッターと併用できないのが残念です。
窓の下には吹き出し口が設けられ、ドラフト対策もバッチリです。
ルーバーを閉めると温度が下がるのも体験することができました。
圧巻は書斎です。
凄く気持ちよい空間でした。
すいません。
続きはおまけ編をご覧ください。
次回をお楽しみに・・・。
どうやらサーモカメラの温度測定がうまくいってないようですね。
修理・調整してもらいます。
精密部品はメンテナンスが面倒ですね・・・。
posted by Asset Red
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