ガラスの断熱性能

今日からGW休暇に入りました。

連休中も細々とではありますが、ブログは書きたいと思っています。

さあ、本題です。

ガラスの性能について書いています。

3回目の今回は、断熱ガスとLow-E複層ガラス併用の効果というお話です。

断熱性能の高いガスを中空層に封入する方法も、ガラスの断熱性能の向上に有効です。

最も多く用いられているガスはアルゴンです。

アルゴンは、常温、常圧で無色、無臭の気体

窒素・酸素に次ぎ大気中に3番目に多く存在する気体ですが、その比率はわずかに約0.93%程度しかありません。

そのため、レアー(稀)なガスの意味である希ガスの一種に数えられます。

語源であるギリシャ語の「怠惰な」や「なまけもの」の意味にあるように、他の物質と反応しない不活性な物性を持っています。

複層ガラスの場合、板ガラスと板ガラスの間に対流の生じない範囲の幅の密閉空気層(中空層)を作ります。

そこに板ガラスの数十倍の熱抵抗のある空気を封入し、その断熱性を利用して断熱性能を高めている訳です。

でも、板ガラスと板ガラスの間に密閉された空気が板ガラス表面の温度差により対流し始めると、逆に断熱性能が低下します。

一般に厚さ6~12mm程度の中空層が使われていますが、この範囲では中空層が厚いほど断熱性能は良くなります。

でも中空層の厚さを12mm以上にしても、対流が起きてしまい断熱性能は上がりません。

さらに複層ガラスの断熱性能を上げたいのであれば、中空層内の空気を熱抵抗の大きいアルゴンガスに変えるのが有効です。

上の図は複層ガラスの中空層が空気の場合とアルゴンガスの場合の熱還流率を示しています。

透明複層ガラスの中空層にアルゴンガスを使用しても、効果はあまり期待できません。

これは中空層内の気体が対流熱伝達や熱伝達を低減できても、ガラスの中空層側表面で生じる放射伝達を低減できないからです。

Low-E複層ガラスであれば、Low-E膜による放射熱伝達の低減効果がある為、ガスを封入することで断熱性能が大きく向上します。

ちなみに、アルゴンガスと空気などの熱伝導率を比較してみましょう。

空気・・・0.024W/m・K

アルゴンガス・・・0.016W/m・K

クリプトンガス・・・0.009W/m・K

クリプトンガスは、アルゴンガスよりも断熱性能が高いんです。

上の図はLow-E複層ガラスの中空層の厚さとガスの種類による熱還流率を示しています。

クリプトンガスを封入する事で、より高い断熱性能を得ることが可能となります。

ただし、高価なため採用はまだまだ少ないようですね。

また、中空層の厚さが12mmを超えると対流による断熱性能の低下が見られるという話も聞いています。

昨今増えている16mmの中空層においては、価格差ほどの性能差はないなんて事も云われているようです。

今回も

HEAT20設計ガイドブック+PLUS

に書かれた内容を中心に

その一部を複写・転載させていただきました。

次回は中空層の厚さによる効果というお話です。

引き続き、お付き合いください。

よろしくお願いします。

 

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posted by Hoppy Red 

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