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昨日、大手町の経団連会館カンファレンス国際会議場で行われた
健康・省エネシンポジウムⅩに参加してました。
もう、10年になるんですね。
弊社が参加するようになって3年目になります。
主催は、一般社団法人健康・省エネ住宅を推進する国民会議。
㈱FPコーポレーションも協賛しています。
毎度のことながら、4時間に渡る基調講演とパネルディスカッションは聞き応えありましたよ。
特に、ディスカッション時のIBEC理事長であり(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議会長でもある村上周三氏からの一言は驚きでした。
「日本はご存知のように先進国です。でも住宅の質については後進国に過ぎない。」
「この事を、共通認識として持っていただきたい。」
永く住宅施策に携わってきた村上氏がこんな発言をするのは、初めてではないでしょうか。
戦後、とにかく雨風を凌げる家を作ろうという住宅施策は始まったと言います。
『安かろう悪かろう』も理解できなくはありません。
でも、すでに住宅のストックは過剰供給状態にあります。
どうせ作るのならば、個人資産としても社会ストックとしても良い家を作るべきですよね。
それが『健康・省エネ住宅』です。
そこに住むことで健康を維持・増進出来る。
二酸化炭素の排出を減らし、地球温暖化の抑制にも貢献できる。
光熱費を減らし、資源の無駄遣いも減らすことができる。
夏涼しく冬暖かい住宅に住むメリットとそうでない住宅に住むデメリット、特に健康リスクを共通認識とする事で全ての国民に「夏涼しく冬暖かい住宅に住みたーい。」と思って戴きたい。
また医療従事者や行政の方々からも、こうした話を様々なエビデンスを元に後押しして戴きたい。
これが、今回のシンポジウムに参加した方々の願いだと思います。
写真は慶應義塾大学の伊香賀教授による講演の一部を撮ったものです。
ヨーロッパ各国と同様に日本も不思議な現象が起きています。
フィンランドや北海道のような寒い地域では冬季の死亡率が低くなっていて、イタリアや鹿児島のように温暖な地域では冬季の死亡率が高くなっている。
寒い地域では高断熱住宅が一般的になっているが、温暖地ではそうなっていないという事です。
平均温度が3℃高いだけで、脳神経繊維は6歳も若返るという調査結果もあるそうです。
現在も引き続き、暖かい家の健康に与える影響のエビデンスは集められています。
でも、『暖かい家=健康維持・増進できる家』という構図は間違いないと思います。
後は如何に暖かい家を増やすかということになります。
「暖かい家が健康に良いのはわかったけど、お金がないよ。」
「あと10年も生きないのに、お金かけてもね・・・。」
なんて方々をどうやって、説得すればいいのか。
とても重要な問題ですよね。
写真は松尾和也さんの講演の一部を撮ったもの。
大半の既存住宅というタイトルがついた写真は、『裸の上半身にホッカイロを20枚張った』男性です。
冬の寒い日にこんな格好で外を歩くという実験をした方がいるそうです。
カイロの隙間に冷たい風が当たるけど、カイロの熱でポカポカしている。
なんだかよくわからない体感だったそうです。
こんな事をやる人はそうそういないと思います。
でも断熱性の低い家をストーブやエアコンをガンガンつけて暖めている方は多いんですよね。
右上のダウンジャケットを着込んだ方が高断熱住宅を表しています。
カイロなんていりません。
エアコン1台で快適な生活がおくれる住宅です。
そして、右下のダウンジャケットを着ながらパンツ一丁の男性。
これ、何だと思いますか?
間違った高断熱住宅なんです。
断熱施工は、外皮をぐるっと厚い断熱材で包まないと意味がありません。
上半身だけ暖かくしても下半身が寒くてはダメなんです。
どうしたら良いと思いますか?
①マフラーを首に巻く
②ズボンを履く
ほとんどの方は②を選ぶと思います。
でも、建築の専門家であるハウスメーカーや設計事務所・工務店の方々の中には①を選ぶ人も多いんです。
間違った高断熱住宅、残念な高断熱住宅。
つくる側もつくってもらう側も正しい高断熱住宅のあり方を学ぶ必要がある。
という事でした。
そうそう、国の省エネ基準を守ってつくられた家はダウンジャケツトのような家にはなりません。
せいぜい、スーツ姿というところでしょうか。
寒い冬にコートも無しで歩けば風邪をひいてしまいます。
カイロが必要な事はいうまでもありません。
新築だけの話ではありません。
既存住宅の寒さ対策も重要かつ危急です。
外皮の高断熱化が無理であれば、より光熱費のかからない暖房機器をりようして寒い場所をつくらないようにする事が大切です。
寒いタイル貼りのお風呂を暖かいユニットバスに変える。
浴室・脱衣室・トイレ・寝室の窓に内窓を設置する。
寝室・トイレ・脱衣室・浴室といった最低限必要なゾーンだけでも、断熱補強をする。
寝る際にはマスクを付けて肺や気道を冷やさないようにする。
それができないのであれば、上下左右に人が住んでいるマンションに引っ越す。
こんな対策も有効です。
まずは、家の中に寒い場所をつくらない事。
光熱費をかけるのが嫌な方は、高断熱住宅に住む事をお勧めします。
私達のような建築業者が言っても、商売だからね・・・。
なんて勘ぐられてしまいます。
だからこそ、医療従事者や行政に携わる方に声を大にして言って戴きたい。
「冬季は室温18℃を下回らないようにしましょう。」
posted by Asset Red
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