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一般社団法人 住まいの屋根換気壁通気研究会 主催
旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ㈱ 後援
日米比較 これからの木造住宅の耐久性とは
というセミナーに、昨日参加してきました。
14時から19時という短いような長いような微妙な時間でしたが、椅子に座って『ためになる話』をたっぷりと聴くことができました。
今回の講師陣が凄いんです。
アメリカからはウエストン・テレサ博士
東海大学 石川廣三名誉教授
有限会社松尾設計室 松尾和也代表
近畿大学 岩前篤建築学部長
さらにトークセッションでは
東京大学 坂本雄三名誉教授
有限会社第一浜名建装 久保田仁司社長
㈱ハウゼコ 神戸睦史社長
の3名も加わって戴きました。
『一般社団法人 住まいの屋根換気壁通気研究会』ってどんな活動をしている団体だと思いますか?
名称を見ればなんとなくわかりますよね。
でも、当日のパワポを見て戴きながら説明したいと思います。
一般消費者が住宅会社選ぶ際に重視するポイントは、建物の性能がトップなんだそうです。
続いて、
立地(地域密着ってこと?)
デザイン
となっています。
では建物の性能って何?
昨今の作り手が重視しているのは
省エネルギー性能
耐震性
高耐久性
と続きます。
でも消費者が重視しているのは
高耐久性
耐震性
省エネルギー性
と続きます。
作り手の中では
「耐久性・耐震性はもう終わっている。」
「既に対策済み。」
という感覚があるのかも知れませんね。
「今はZEHだよ。」
「省エネ性能をアピールしなきゃ。」
というところでしょうか。
建物の性能を重視するという事で一致している消費者と作り手ですが、その内容は微妙にずれているようですね。
雨漏りや結露といった諸問題を作り手側は軽視しているのかもしれません。
「木造住宅の高耐久性とは水対策の事である。」
といっても差支えないと思います。
結露対策
雨漏れ対策
腐朽菌・シロアリ対策
それらの問題を解決するために集まって、作り上げたのが一般社団法人 住まいの屋根換気壁通気研究会です。
日本で唯一法人格を持つ、外皮の換気通気研究を行う団体なんだそうです。
木造住宅が腐朽する条件は4つあります。
①温度(20~30℃)
②空気
③水分(含水率20~150%)
④養分(木材)
この4つ、全てが揃うと腐朽が始まりす。
逆を言えば、どれかひとつでも欠ければ腐朽を防ぐことが可能だと言う事になります。
温度・空気は難しいですよね。
養分は樹種の選択(耐腐朽性能の高い樹種を選ぶ)や部位の選択(辺材よりも芯材を選ぶ)位でしょうか。
結局、水分対策が重要になる訳です。
初期含水率を下げる事は有効です。
あとは結露・漏水と工事中の水濡れを防ぐだけとなります。
でも相変わらず、『軒ゼロ住宅』の雨漏れは減っていないのが現状です。
軒ゼロ住宅(軒の出が少ない住宅)の事故リスクは、軒が出ている住宅のおよそ5倍にもなるそうです。
屋根の事故は、雨漏りと結露が原因です。
雨が漏らないようにして、結露も起きないようすれば良い訳です。
どうして減らないの?
軒ゼロ住宅は建築家の家っぽいから作りたい。流行っているしね。
軒の出が少ない方が安く出来るし・・・。
でも雨漏りは瑕疵だから防ぎたい。
でも雨対策をすればするほど、軒ゼロ住宅の場合は結露リスクが増大します。
軒が出ていれば防げるリスクなのに・・・。
「今時雨漏りなんて・・・。」
「欠陥住宅じゃない!」
これと比較すると、結露の方がお客様の納得を得やすいそうですね。
「結露は生活の仕方によります。」
「結露の起きにくい生活スタイルを目指しましょう。」
結局
「内部結露してもいいから、雨漏り対策を徹底しよう!」
という事なんでしょうか?
でも雨漏りは保険で賄えるけど、結露で保険は使えない・・・。
こんな事を悩んでいる方々もいるそうです。
きちんと両方の対策をしましょうよ、皆さん。
軒ゼロ対応の通気金物もたくさん流通しています。
でも、そうした金物にはきちんとした基準が無いそうです。
そもそも、外壁と比べて屋根の結露対策は圧倒的に不足しています。
欧米が基準をつくり屋根の結露対策をしているのに対し、我が国ではまるで見なかった振りを決め込んでいます。
雨さえ入らなければ、問題ありません。
と云わんばかりです。
屋根の葺き替えを行った職人さんに聞いてみると、97%の方は野地板が劣化していたと言います。
本来であれば野地板の交換も行うべきなんでしょうが、大抵はコストや工期の為そのまま下葺き材を交換しておしまいです。
屋根材は新しくなりますが、下地は劣化したまま・・・。
こうした姿勢は大問題だと思いますが、そもそも野地板が劣化しているのも大問題です。
雨漏り?
結露?
こうした問題を共有化する。
問題の本質を理解する。
対策を考える。
コストアップになる事も多いんです。
雨漏り・結露対策を採るか、コストアップを採るか。
消費者に同意を得やすいトークや資料も必要になります。
周知の方法だって考えなければなりません。
こんな事を考え、実践している団体です。
今後も動向に注意していきたいと思います。
posted by Asset Red
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