エアコンのしくみ

そろそろエアコンを稼働する方もいるのではないでしょうか?

以前にも書いたと思いますが、エアコンについて、もう一度書いてみたいと思います。

エアコンが涼しい空気を送り出すまでの流れを順を追ってみましょう。

①液化している冷媒をエアコン内に入れ、圧力を下げて気化させます。

②冷媒が気体になると気化熱が奪われて蒸発器(アルミフィン)が冷却されると同時に、部屋の中の暖かい空気が引き寄せられます。

③冷却された空気がファンの回転で部屋に送られます。

④気化した冷媒を部屋の気化熱と共に室外機に送ります。

⑤圧縮機で冷媒を圧縮し、同時に熱を発生します。

⑥圧縮され高温になった冷媒(気体)をファンにより冷却。放熱しながら再び液化します。

エアコンの原理は、注射の時に腕をアルコールで消毒するのと同じです。

アルコールを浸した脱脂綿で消毒した直後、スーッと冷たさを感じますよね。

これはアルコールが蒸発する際に腕の熱を奪うために起こる現象です。

この時奪われる熱を『気化熱』と言います。

エアコンの室内機と室外機はパイプで繋がっている事をご存知でしょうか?

あのパイプの中には『冷媒』と呼ばれる物質が入っています。

室内機に入るまで、冷媒は液体です。

しかし室内機内部に送られ、『蒸発器』と呼ばれる機械の中に入って圧力を下げられると、液体だった冷媒は気体に変わります。

この時、室内の空気は気化熱を奪われ、これが冷風の元となります。

一旦気体に変化した冷媒ですが、そのままパイプを通って室外機に窓ると、今度は『圧縮機』と呼ばれる機械の中で圧力をかけられ液体に戻ります。

この時、機械の中では熱が生まれます。

この熱は、今まさに室内で奪ってきたばかりの気化熱です。

冷媒が室内の熱を運んで屋外に排出した訳です。

電気のチカラで熱を移動させる機械がエアコンです。

熱は移動するだけで消える訳ではありません。

言ってみれば、部屋を急いで片付けるためにひとまずゴミを外に放り出したようなもの。

これが積もれば街はゴミだらけになってしまいます。

室外機から熱い空気が吹出されているのを見たことありますよね。

エアコンがヒートアイランド現象の一因と言われているのは、こんな理由からなんです。

暑くはないけど、少し蒸し蒸しする。

こんな時期に使いたい機能が『除湿運転』です。

温度を下げずに湿度を下げてくれる便利な機能だと思っていないでしょうか?

除湿の原理は、冷たい水の入ったコップに水滴がつくのと同じです。

エアコン内部の冷たい部分に結露を発生させて、室内の水蒸気をパイプから屋外に排出しているんです。

ただしエアコンの運転自体は『弱冷房』と同じです。

湿度を下げるために室温を下げなければなりません。

おそらく除湿運転を使う人は冷房が嫌いな人だと思います。

室温はそのまま、湿度だけ下げたいんですよね。

そんな方にお勧めしたいのは、『再熱除湿』。

除湿する為に一旦温度を下げた空気をヒーターで暖めます。

これを吹き出し口から出す事で、温度を下げる事もなく湿度を下げる事が可能になります。

夏なのにヒーターを使う・・・。

電気のチカラで夏と冬を合わせて春を作るようなものですよね。

快適だけど、その分電気代がかかります。

でも外皮の断熱性能を強化して、日射遮蔽対策を上手に行っていれば、エアコンの電気代なんて大したことはありません。

一年の間に再熱除湿の必要な時期なんて、それほど無いと思います。

初期投資もそれなりに掛かりますが、健康・快適な生活を得たいのならば『再熱除湿運転』のあるエアコンを選びましょう。

ただし、使用に当たっては注意する事があります。

それは連続運転をする事。

エアコン内部に冷えた部分を作り、そこに結露を発生させることで湿度を下げる仕組み上、エアコンの運転を停めてしまうとここにカビが繁殖する恐れが高まります。

スイッチを切るのであれば、2時間程度『送風運転』をする必要があるでしょう。

エアコンを上手に使って、健康・快適な生活を送りましょう。

『エアコンのいらない家』エクスナレッジ刊/山田浩幸著より一部転載させていただきました。

 

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