窓廻りの断熱処理

今日の練馬・板橋は晴れ。

気温も28℃と高くなっています。

晴れ間はうれしいけど、そろそろ雨が降ってくれないと水不足も心配ですよね。

『FPの家 T邸』

窓枠を取付、その廻りの断熱補強を行っています。

イラストはアルミと樹脂の複合サッシの水平断面です。

図中赤くなっている部分は、サッシを躯体に取付けるための『フィン』と呼ばれている部分が室内側に出てしまうところ。

『熱橋』と言われる部分です。

外気が冷たくなる冬季に冷たく冷やされ、室内の暖かい空気に触れると『結露』を引き起こします。

そこで図中ベージュの部分に断熱材を充填し、暖かい室内空気と冷たい外気が接触しないようにしなければなりません。

これが、窓廻りの断熱補強です。

その様子を順を追って説明したいと思います。

熱橋部分に現場発泡ウレタンを充填しました。

これが発泡・硬化したら平らに切削し、アルミテープを躯体とサッシに跨るように貼ります。

現場発泡ウレタンは水蒸気を通してしまいます。

(これを『透湿性』が高いと言います。)

標準的な施工要領を見ると、部屋側に防湿シートを隙間なく連続して貼るように書かれています。

写真のようにウレタンが見えなくなるよう丁寧にテープを貼るのも効果的です。アルミテープは防湿シートよりも透湿性が高いですから・・・。

ここに窓枠を取付けるとこんな感じになります。

躯体と窓枠の間に大きな空間があるのが見えるでしょうか?

このまま石膏ボードで蓋をしたら、明らかな断熱欠損になってしまいます。

ですからここにノズルの先端を突っ込み、現場発泡ウレタンを充填します。

この時、発泡倍率の高いウレタンは使わない方が良いと思います。

窓枠やサッシ枠を内側に押して、変形することがあるからです。

一度にたくさんのウレタンを充填することも避けてください。

半分くらいで充填を止め、発泡・硬化したら再度充填します。

明日の今頃には、発泡・硬化した部分を平らに切削し、アルミテープを貼る事が出来ます。

これで、窓廻りの断熱補強と防湿・気密施工が終了します。

 

これらは、住宅省エネルギー技術/施工技術者講習のマニュアルにもちゃんと掲載されています。

でも、それが反映されていない現場がいまだに多いんですよね-。

改修時に見掛けた、断熱補強が全くされていないケースです。

セルロースファイバーを吹き込んだ現場の写真ですが、窓廻りには全く吹き込まれていません。

この後ウレタンを充填し、断熱材共々防湿シートで覆っていればいいんですけど・・・。

出来れば『夏型結露』を考え、可変タイプの防湿シートを貼ることをお勧めします。

暖かい地域では、ウレタンを吹いて平らに切削するだけで、防湿シートを貼らないケースが多く見受けられます。

繊維系断熱材は湿ってしまえば著しく断熱性が低下してしまいますし、現場発泡ウレタンを透過した水蒸気は断熱材と外壁合板の間で結露します。

断熱と防湿対策は常にセットで考えなければなりません。防湿・気密施工の伴わない断熱施工なんてあり得ないんですよね。

高性能断熱材を厚く施工すれば、夏涼しく冬暖かい家が出来ると思っていませんか?

断熱施工はそれほど簡単なものではありません。

ひとつの施工不良が、全てを台無しにしてしまうかも・・・。

断熱材に適した施工方法を熟知し、その施工方法が行われている事をきちんと管理してくれる工務店を見つける事が重要です。

正しい知識と長い経験が無ければ、夏涼しく冬暖かい家をつくる事はできません。

 

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