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省エネ住宅に関する様々な用語を整理したいと思います。
①ゼロエネルギーハウス
直訳すれば、エネルギーを一切使わない家。
アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツなどでは、ほとんどエネルギーを使わない家として使われていて定義は必ずしも明確でない。
アメリカでは二酸化炭素排出量が差し引きゼロのカーボンニュートラルを挿している。
②ネットゼロエネルギーハウス
太陽光発電システムなどの自然エネルギーを利用することで生じる差し引き分を含めて正味量がゼロになる住宅の事。
国交省や経産省で指す『ゼロエネルギー住宅』とは、住宅の躯体・設備の省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの活用等によって、年間での一次エネルギー消費量が正味で概ねゼロになる住宅をいう。
また国の事業で定義する一次エネルギーには、家電と調理機器の一次エネルギー消費は含まれない。
これらは躯体と一体化したものではなく、施主が好みに応じて後付けするものであり、住宅事業者が把握しにくいことから便宜上そうなっている。
ちなみに欧米のネットゼロエネルギーハウスは、家電と調理機器の一次エネルギー消費量も含まれる、より厳しい基準になっているので比較の際には注意が必要だ。
③低エネルギーハウス
通常の住宅よりもエネルギー消費量が少ない住宅を指す。
ドイツ&スイスの低エネルギー基準では年間1㎡当たりの暖房負荷が30~20kwh/㎡aとなる。
またドイツの低エネルギーハウスには、年間1㎡当たり7リットルの灯油使用制限(50kwh/㎡a相当)もある。
スイスではMINERGIE基準に基づき42kwh/㎡aの制限
アメリカではASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)エナジースター認定(ENERGY STAR program)によって、標準的な新築住宅よりも15%以上エネルギー消費を減らした住宅を指す。
④パッシブハウス
冷暖房エネルギーを極力減らした超低エネルギーハウスの事。
スウェーデン・ルンド大学のB・アダムソン教授と、住宅環境研究所のW・ファイスト博士が1988年に提唱。
1990年、ドイツのダルムシュタットに最初のパッシブハウスが建てられた。
パッシブハウスとは以下の3つの基準を満たした建物である。
1.年間の冷暖房エネルギーが冷房・暖房それぞれで15kwh/㎡を超えてはならない。
2.電力源・熱・温水・電気を含む全ての一次エネルギー消費量が120kwh/㎡を超えてはならない。
3.気密性能n50≦0.6/h(50Pa気密性能試験において1時間当たりの漏気が0.6回以下)
ヨーロッパ型気候で設計する際の目安となる仕様は次の通り。
1.外壁・屋根の断熱性能:U値<0.15W/㎡K(厚さ25~40cmの断熱材)
2.窓の断熱性能:Uw値≦0.8W/㎡K(パッシブハウス仕様の3層ガラス高断熱窓)
3.換気システムの熱再生利用率80%以上
かつバルコニーやテラス等でヒート&コールドブリッジを避ける構造
2010年8月までに2万5000棟が主にドイツや北欧諸国で建設済み。
日本では『一社パッシブハウス・ジャパン』が工法や認定取得などの支援を会員企業向けに行っている。
⑤無暖房ハウス
暖房設備を必要としない家。
スウェーデンの工学博士・建築家であるハンス・エーク氏による『暖房設備のない家』をNPO法人『外断熱推進会議』が2003年頃から『無暖房住宅』として紹介。
「新しいエネルギーを考える前に、エネルギーを使わない住宅を建てる事が重要である」という明確で分かりやすいコンセプトの影響を受け、日本でも先進的な住宅業者によって設計が試みられた。
スウェーデンではRC造・鉄骨造・木造の分譲地や賃貸住宅で建築事例がある。
日本ではパッシブハウスの断熱・気密・熱交換換気のデーターをモデルとし、日本の各地域の気候条件に合ったモデルハウスの設計が行われている。
つづく・・・。
エルエルアイ出版/新住宅ジャーナル 編
ゼロエネルギー住宅とパッシブハウスより、一部を抜粋させていただきました。
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