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一昨日、定休日を利用して千代田区丸の内の東京国際フォーラムに行ってきました。
目的はコレ
APWフォーラム&プレゼンテーション2017
コンセプトは『2020年へ、ZEHで勝ち残る。』
イマイチ惹かれないテーマではありますが、(一社)パッシブハウスジャパン 理事/松尾和也氏のセミナーを聴きたかったし・・・。
家族サービスを放棄して、出掛けてしまいました。(娘よ、ごめんなさい・・・。)
いつものように、早めに到着。(前から5列目のほぼ真ん中の席をGET!)
会場は、たくさんのセミナー受講者で溢れていました。
700名超の方が来ていたようですね。
YKKAP黒部工場を中心とした紹介映像からスタート
YKKAP執行役員 水上修一氏による新商品プレゼンテーション
独立行政法人 産業技術総合研究所/主任研究員 桜井啓一郎氏によるエネルギーの話
休憩&商品見学(事前に聞いていた商品ばかり・・・。目新しいものはありませんでした。)
予想を超える有意義な時間が続きます。
いよいよ、一般社団法人パッシブハウスジャパン/理事 松尾和也氏による話が始まりました。
その中の一部をご紹介します。
住宅の外皮性能とトータルコストの話です。
①改正省エネ基準相当の家(Q値2.7W/㎡K)
②HEAT20/G1相当の家(Q値1.9W/㎡K)
③HEAT20/G2相当の家(Q値1.6W/㎡K)
の3タイプの家をトータルコストで比較しています。
外皮性能を良くするほど、イニシャルコスト(初期コスト)が高くなります。
でも、その分ランニングコスト(運転コスト)は安くなります。
大事なのは、そのバランスです。
新築後10年までは、①が一番安いことになります。
でも10年を過ぎると、②が安くなります。
30年を超えれば、③が安くなります。
あくまでも住宅の寿命が30年超であればの比較です。
建売業者やローコストメーカーの建てる家であれば①で十分な訳です。
充分な防湿・気密施工を行っていない建物が多いので、長持ちしません。
長持ちはしないけど、とにかく初期投資額を下げたい。
でも、注文住宅がコレでは困ります。
せめて30年もつ家を建てるなら②が必要性能となります。
30年以上もつ家を建てようとするならば、③の性能がお得です。
ちなみに弊社がつくる標準的な住宅は②および③です。
目安として窓が樹脂アルミであれば②、樹脂窓であれば③となります。
高性能エアコンを設置する事で、建物自体の性能不足を誤魔化す事が可能です。
こうした『メカメカ住宅(スマート住宅)』の場合、10年もすれば普通の住宅になってしまいます。
設備の寿命を迎えれば、高性能でも省エネでもありません。
壊れるたびに高価な設備を買い直さなければ、省エネで快適な生活を続けることはできません。
やはり『すっぴん』の性能(外皮性能)で勝負すべきではないでしょうか。
上の写真は①②③の住宅の自然室温と外気温を比較したもの。
性能が高くなるほど、無暖房室の温度は高くなることを示しています。
自然室温と外気温の差を自然温度差といいます。
これを計算式にすると上のようになるそうです。
分母のQ値はコストで決まります。お金を掛ければ誰でも上げることが可能です。
でも、C値を下げる努力・工夫をしなければ意味がありません。
例えばQ値2.7の住宅もC値が5.0であれば、2.7+5.0/10=3.2になってしまいます。
C値は設計・施工の経験とていねいさで決まります。
また、気密性能測定を行わなければ評価できません。
暮らしやすさを実現しつつ、面積をより小さく出来れば自然温度差を少なくする上で有利となります。
設計力って重要なんですね。
分子の日射取得(夏であれば遮蔽)は、まさに設計次第。
パッシブ設計が出来るかどうかで決まります。
思った以上に快適・省エネ性能が変わるんです。
掃き出し窓(165cm×200cm)であれば、およそ600W(こたつ×1個分)の暖房機器に相当します。
南面に掃き出し窓が3つあれば、600×3=1800Wの電気ストーブを点けているようなもの。
どの窓をどの方位に設置するのか。
遮蔽部材をどうするのか。
上手に設計すれば、冬は室温上昇に役立ちます。
夏だって大丈夫。日射熱の侵入を未然に防ぐ事ができれば室温上昇を防げます。
家電や調理器具などによる内部発熱を減らすのは難しいですよね。
せいぜい使わない器具のコンセントを抜くとか、電球をLED化するというところでしょうか。
器具の消費電力を確認し、より少ない物を選ぶのも良いでしょう。
健康・快適で省エネな住宅をつくるには、高い断熱性能と気密性能が重要です。
そして地域特性を踏まえた設計能力も重要になります。
機会があれば、別の話もご紹介したいと思います。
posted by Asset Red
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