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通風により体感温度が下がります。
湿っぽさは夏は暑苦しさを増大し、冬は暖かさを増してくれます。
『快適さ』を科学的に捉える手法を調べてみました。
まずは『不快指数』です。
1957年にアメリカで考案されました。
夏の蒸し暑さを表した指数ですが、今ではすっかり使われなくなりました。
快適感は年齢・人種・性別・季節差・慣れにより異なります。
日米でも差があるようですよ。
不快指数と日米の感じ方の違い(日本/アメリカ)は以下の通りです。
70以上・・・表示無し/一部不快
75以上・・・やや暑い/半数が不快
80以上・・・暑くて汗が出る/全員不快
85以上・・・暑くてたまらない/表示無し
不快指数(DI)は温度と湿度で決まります。風の影響は含まれていません。
続いて『PMV(予測平均温冷感申告)』です。
人体には、暑い時には発汗して体温を下げ、寒い時には震えて熱をつくり手足の血管を収縮させて放熱を防ぐメカニズムが備わっています。
一方、暑くも寒くもない時が熱的不快がない状態では体温調整のストレスもなく、脈拍・血圧も安定しています。
暑くも寒くもない状態を『中立』と表現し、温冷感を7段階の尺度で示したものが予測平均温冷感申告(PMV)です。
中立な状態でも100%の人が満足することはありません。
これを示すのが予測不快者率(PPD)とPMVの関係を示したグラフです。
PMVがゼロでも、5%の人が不満をもつと予測されています。
国際標準化機構(ISO)では±0.5以内(不快者率10%以下)となる温熱環境を推奨しています。
人間の体温調整に影響を与える要素を『温熱環境要素』と呼びます。
空気温度
湿度
気流
放射
の4つの環境側要素と
在室者の着衣量
在室者の活動量
の2つの人間側の要素を合わせた温熱環境の6要素と呼ばれています。
着衣量(単位:clo値)と活動量(単位:Met値)の目安は以下の通りです。
これらを使って体感温度を示すのが『新標準有効温度(SET*)』です。
相対湿度50%・風速0.1m/s・着衣量0.6clo・活動量1.0Metの環境に換算することで、異なる条件での快適性を比較します。
アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)で標準的体感温度として採用されています。
上記標準環境での快適な温度範囲は22.2~25.6℃。
満足度は80%の範囲です。
冬服(1.0clo)にすると19.5~23.0℃になります。
また風速が早くなれば快適温度の範囲は高められます。
同様に湿度が低くなれば、快適温度の範囲は高められます。
最後は『体感温度』です。
体感温度は、人間が感じる温度を『リンケの式』で数値化したものです。
気温と風速の2つの要素だけで判定します。
リンケによれば風速が1.0m/s大きくなれば、体感温度は1.0℃下がるそうですが、微風ではそうなりません。
湿度の影響がないのも問題ですよね。
リンケの体感温度式は以下の通り
L=気温(℃)-4×風速(m/s)
気温と湿度の違いで変化する快適感を示したものがありました。
オルゲーの生気候図です。
風速0.1m/sの場合、湿度が50%以下であれば気温が22~28℃で快適範囲に入ります。
50%以上になると快適な範囲が狭まり、80%近くだと22℃以上で不快になります。
風があると快適範囲の温度が高まり、2m/sあれば湿度80%でも25℃以下なら快適範囲に入ります。
色々あって、何がいいのかわからなくなっちゃいました。
最後のオルゲーの生気候図かSET*あたりが簡単で、いいかも知れませんね。
建築技術 刊
南雄三 著
通風トレーニングから一部抜粋して、ご紹介しました。
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