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可変透湿気密シートは室内下地材の躯体側(室内から見て裏側)に施工します。
それによって、壁体の気密を確保し、冬季室内の水蒸気が壁体内に侵入することを防ぎます。
また夏季は室内側で高まる水蒸気に対して室内側に水蒸気を開放するように変化する気密シートです。
つまり一年中壁体内の高湿環境(夏型・冬型結露)を防ぐ、便利なシートなんです。
日本の伝統民家は、土の壁か木の壁が普通でした。
つまり壁の中には空洞がなかったんです。
もし空洞をつくり、そこでは通風が行われておらず、湿気と栄養分(有機物)があったらどうなるでしょうか?
これって、家を閉め切ったままにしておいた状態と同じです。
たちまちカビだらけになるでしょう。
つまり、こうした環境においては、気密性を高めない方が良いんです。
でも、冬季に室内の水蒸気が壁の中に入ってしまったら、カビてしまいます。
隙間風で寒いのもゴメンですよね。
気密性を高めたらいいのか、高めない方がいいのか・・・。なんだかわからなくなってきました。
この問題を解決したのがドイツで開発された『可変透湿気密シート』なんです。
このシートは水蒸気が空気中に含まれる量によって反応します。
だから、シートの張り方が重要なんです。
つまり隙間なく張れなければ、その効果は期待できないということ。
水も漏らさないような施工が求められる訳です。
気密の大切さを示した図です。
縦横1m×1m×厚さ14cmの試験体に、たった1mm隙間があるだけで800gの水蒸気が侵入します。
これは隙間のない場合の熱損失の4.8倍に当たります。
思った以上に気密性の有無は大きく影響するんです。
日本では長い間、木造住宅の外壁下地外側に防水シートとしてアスファルトフェルトが使われてきました。
しかし住宅の高気密・高断熱化に伴う、室内で発生した水蒸気が壁体内に滞留し引き起こす結露。
そして、これに起因する木材腐朽菌・カビ・ダニ・シロアリの繁殖が問題となりました。
1980~1990年代になると、外壁材と断熱材の間に通気層を設け、壁体内に侵入した水蒸気を通気層を通して外部に放出する『通気層工法』が北海道を中心に普及しました。
その際に使われ始めたのが建物外部からの雨水侵入を防止し、壁体内に生じる水蒸気を外部に逃がす透湿性を兼ね備えた『透湿・防水シート』です。
透湿抵抗(透湿性)は住宅内の水蒸気が透湿・防水シートを通して、屋外に排出する機能です。
単位は㎡・S・Pa/μg。
数値が小さい程、水蒸気は多く屋外に排出され壁体内結露も起きにくくなります。
防水性は雨が透湿・防水シートを通して住宅内に侵入しようとする圧力に耐える機能です。
数値が大きい程壁体内への雨水の侵入を防ぎます。
国産の透湿・防水シートのほとんどは、紙おむつの技術で作られています。
薄いフィルムに水が通らず水蒸気が通るサイズの穴を開け、不織布で裏打ちしたもの。
JISの規格では「8Paの圧力下で水が浸透しない。」ものとなっていますが、その効果は10年程度となっています。
最近になって、ようやく20~30年程度効果が続く製品も出てきました。
フィルムの微孔から水蒸気が通過し、雨水が遮断されるイメージは上図の通りです。
透湿・防水シートは防風層も兼ねています。
防風層は繊維系断熱材の中に外気が侵入し、断熱性を低下させるのを防ぐ役目を持っています。
こちらもも隙間なく、ていねいな施工の方が良いのは言うまでもありません。
posted by Asset Red
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