日影の状況に応じた窓の設計

『HEAT20』

ご存知でしょうか?

2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会

弊社も応援している、民間の団体です。

HEAT20 設計ガイドブック+PLUS

という本が建築技術より刊行されています。

色々とためになる本です。

よろしければ、是非読んでみてください。

 

今回は、その中から窓の設計についてご紹介します。

 

下図左側は軒先からの窓までの垂直距離と方位別の日射量を示したもの。

隣棟などの日影が無い場合です。

省エネ基準はこちらで評価しています。

そして右側は、隣棟までの距離による影響を配慮したものとなります。

随分と違いますよね?

実際の日射量がこちらの方に近いのは明白です。

この辺りのことを、本文ではこう書いています。

都市部や一般的な住宅地における省エネで快適な住まいづくりでは、隣接建物や植栽などの周辺環境を考慮して窓を設計することが重要です。

特に窓から住空間に入る日射量は日影の状況により100倍以上の違いがあるため、その影響は多大です。

陽当たりが悪い住宅では、窓を設置する位置や方位により日射量がことなる事を踏まえ、居室の配置方法を考える必要があります。

省エネルギー基準では隣棟や植栽などの周辺環境の影響は配慮せずに『野原に建つ一軒家』で評価しますが、実際の住宅づくりではこのことをしっかり熟慮し計画する事が望まれます。

下図に示すように隣棟距離が十分に確保されている場合には距離が近い場合と比べて日射取得が多くなるため、冷房負荷は大きくなるものの暖房負荷は小さくなり暖房・冷房の合計負荷は小さくなります。

また、この傾向は日射取得型のガラスを使用する場合に顕著になります。

一方、隣棟距離が1mの場合には隣棟の影により日射取得量が小さくなるため、ガラスが日射取得型と日射遮蔽型の場合で暖房・冷房負荷が同程度となります。

隣棟距離が5mの場合には暖房・冷房の合計負荷は1mの場合とほとんど変わらないものの、日射取得型のガラスを使用し庇などの日射遮蔽による防暑対策を講じることで合計負荷を削減できる可能性があります。

このように日影の状況を考慮してガラスや付属部材を選択することが、暖冷房負荷の低減と良質な温熱環境の形成につながります。

一般的には南側のガラスは日射取得型、東西のガラスは日射遮蔽型、北側のガラスは日射遮蔽型が良いとされています。

でも、断熱性能を比較すると日射遮蔽型の方が日射取得型よりも優れています。

野原の中に建つ一軒家であれば、問題ありません。

でも、弊社のエリアには当てはまりません。

やみくもにガラスの選択するのではなく、周辺環境を確認した上で適切なガラスを選ぶことが重要となります。

また庇などの日射遮蔽部材との組み合わせを有効に活用することも、忘れてはなりません。

ガラスの選択ひとつ取っても、簡単にはいきませんね・・・。

 

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