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今朝も練馬・板橋では雨が降っていました。
なんだか雨が続きますね。
でも現場は休業、良かった・・・。
気温はそれほど高くないけど、湿度はそれなりに高くなっています。
東大の前先生曰く
変温動物は自分の体からは代謝熱をほとんど生み出さず、外界の温度変動が体温に直接影響します。
熱を生み出さないので食料は少なくて済みますが、外界の温度が上がり過ぎたり下がり過ぎると活動が出来なくなってしまいます。
これに対して人間は恒温動物。
食料のエネルギーを消費して体の中で代謝熱を生み出します。
外界温度が変化しても体温を維持し、活動を続けることが出来るのが恒温動物のメリットです。
でも、そのために大量の食料を摂取しなければならないし代謝熱を捨てないと体温がオーバーヒートして死んでしまうことも・・・。
人間が熱を捨てる方法は放射・対流・伝導による『乾性放熱』と、汗の蒸発による『湿性放熱』の2つに大別されるそうです。
前者は周辺環境が暖かいか、寒いかで決まります。
私達に出来るのは着衣量の調整しかありません。
寒ければ厚着して、暑ければ薄着になる。
あとは冷暖房にたよるしかありません。
一方後者は人体の方で汗をかく量を調整できるので、はるかに自由度が高いそうです。
人体の発汗量は最大1500g/h。
気化熱で概ね1000Wの熱を捨てる事ができるとか・・・。
水の補給を続け、かいた汗が蒸発して、気化熱を奪ってくれる限り人間はオーバーヒートしないんですって。
エコハウスのウソ[増補改訂版]/前真之 著/日経BP 刊 より一部抜粋
こうした人間に備わった熱発散を行うメカニズムは、相対湿度が低い状態であれば有効です。
体表面の汗が蒸発し、気化熱を奪うため表面温度が下がるのは、注射前にアルコールを塗るとスーッと冷たく感じるのと同じ理屈です。
でも相対湿度が高ければ、汗は蒸発せず不快感を感じるようになります。
温度が高くても、ヨーロッパやハワイではさほど暑さを感じないのはこんなところに原因があったんですね。
クールビスが叫ばれる昨今、室温を28℃にするとエアコンの除湿能力は満足に機能しません。
たとえば9時半現在の弊社事務所駐車場の気温は26.4℃。
相対湿度は78.3%。(絶対湿度17.0g/㎏DA)
不快指数は77.0となっています。
温度設定28度では、冷房運転もさほど行われず除湿も期待できないでしょう。
高湿状態は改善せず、不快に思う方も多いのでは?(湿気が嫌いな私は不快感いっぱいです。)
健康に対する最適湿度は40~60%と言われています。
どうやって、湿度を下げたらいいの?
エアコンを除湿モードに切り替えましょう。
再熱除湿タイプのエアコンをお使いの方は、問題ありません。
室内空気を一旦下げて、結露を起こさせ、その水分を外に排出(除湿)してくれます。
吹き出す空気はヒーターで暖められるので、室温が下がることもありません。
ただし、電気代が余計にかかるのが珠に疵・・・。
健康・快適を取るか、省エネを取るか・・・。
再熱除湿じゃないエアコンをお使いの場合は、ちょっと面倒です。
だって湿度を下げたいだけなのに、勝手に室温が下がってしまいます。
しばらくは着衣量を調整しながら除湿運転を行いましょう。
ちょうど良い湿度になったら、冷房運転に戻して構いません。
日射取得が多いお宅であれば、カーテンを開けて室温上昇を図りながら除湿運転を行うのも良いかもしれません。
さすがに、除湿で下がった室温を電気ストーブで暖めてくださいとは言えません。(苦笑)
そうそう、こんな製品を使うのも良いと思います。
ソーラーウォーマーと言います。
集熱+送風+発電を一枚でこなすパネルを陽当たりの良い外壁に取付けるだけ。
太陽光で暖められた空気を太陽電池で回した送風ファンで室内に送るシンプルな構造です。
暖房出力は一畳弱のサイズで最大1キロワット(1000W)を実現します。
電気代はかかりません。
これをエアコンの付近に設置し、吹き出し口をエアコンの吹き出し位置に合わせます。
冬はエアコンの暖房負荷を減らせるし、除湿時の室温低下を防ぐことも出来そうです。
室内側の蓋を閉めれば漏気もありません。
ここで、残念なお話をしなければなりません。
弊社が標準的に採用している『第3種換気システム』は、様々なメリットを持っています。
でも、外壁に設けた自然給気口から外気をそのまま導入してしまいます。
今日であれば、26.4℃かつ絶対湿度17.0g/㎏DAの空気を採り入れてしまうんです。
せっかく下げた湿度も、いつの間にか戻ってしまう事に・・・。
結局、定期的に除湿を行う必要がある訳です。
家電量販店でコンプレッサー式除湿機を購入し、エアコンと併用する手もあります。
問題はイニシャル&ランニングコストですね。
「エアコンの風が嫌い。」
「カラッとして気持ち良い室内環境を実現したい。」
「ダイキンのデシカに興味あるんだよね。」
どうやら弊社が以前に施工した、FPの家 AIRの施工事例をご覧になった方のようです。
そんなお客様に提案させて戴いたのが、第1種換気システム(全熱交換タイプ)とヒートポンプ式除湿装置(1.7リットル/hの除湿能力)を組み合わせたシステムです。
換気システムに取り込んだ新鮮空気を各室に送る前に除湿して、湿度と温度を下げるのが目的です。
ついでに温水チューブを階間部分に配置し、低温暖房も兼ねるようにしてみました。
セントラル除湿・冷暖房システムと言えるかもしれませんね。
そもそも第1種換気システムの場合、新鮮空気の入り口は1か所しかありません
ここにフィルターを掛ければ虫・埃や花粉、場合によってはPM2.5や黄砂の侵入を防ぐことが可能です。
また、除湿装置を接続する事で室内に供給する空気の湿度を下げることも可能です。
でも、隙間が多い建物では実現が難しいでしょう。
依然にデシカを採用した際にも、ダイキン担当者より
「気密性能が相当良くないと、効果は期待出来ませんよ。」
「御社の建物の気密性能はどの位なんですか?」
と聞かれたことを思い出します。
「弊社の建物はC値で言えば0.1~0.3㎠/㎡となります。」
「0.6を上回ることはまずあり得ません。」
「それならば、問題ありません。」
お墨付きを戴き、採用を決めました。
気密性能が低い建物では、上下温度差や風によって室内空気が外に押し出され、外気が給気口以外から侵入する事になります。
給気口にはフィルターが付いていて抵抗が大きいですから、より入りやすい隙間から入る訳です。
そこではフィルターによる異物の選別も熱交換も行われません。
ましてや除湿が行われるハズもありません。
せっかくの換気システムも、それこそ絵に描いたモチになってしまいます。
気密施工の経験が多く、隙間の少ない建物をつくる事が出来る弊社だからこそ出来る提案だと思います。
全館で湿度のコントロールされた空気を味わう事が可能です。
デシカに比べてイニシャル・ランニングコストの低減が図れます。
エアコンと違い、風や音を意識しないで済むのもメリットではないでしょうか。
念のため補助冷暖房を用意しますが、稼働時間を大幅に減らすことが可能です。
高温多湿な日本でヨーロッパ並みの適温適湿環境を実現するしくみ。
是非、実現したいですね。
実現の折には、製造メーカーの方にもご協力いただき様々な実証を行いたいと思います。
posted by Asset Red
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