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アセットフォーの定休日2日目。
今回は、巷で話題の本をご紹介します。
ホントは安い
エコハウス
松尾和也 著
日経ホームビルダーズ 刊
かなり良い本だと思います。
建築系の本にしては、売上も好調のようですね。
早々と増刷されています。
著者が以前から精力的に取り組んでいるエコハウスに関するノウハウを、惜しげも無く披露しています。ありがたい・・・。
今回は、本文中からこんな計算式をご紹介したいと思います。
自然温度差=日射取得熱(W/h)+延床面積(㎡)×2.1(W/h)/(Q値+C値/13)×延床面積(㎡)
著者は言います。
住宅会社が一番頑張らなければいけないのは、暖房負荷を減らす事です。
そのための設計をする際の優先順位は、と言うと以下のようになります。
日射取得 5割
断熱性 4割
気密性 1割
大事なことは、それぞれの割合が掛け算になっていると言う事。
例えば、日射取得や断熱性が良くても気密性が悪ければ全体は大きくダウンしてしまいます。
自然温度差とは、無暖房室温の平均と外気温の差を言います。
それを算出するために、先程の計算式を利用しよう!と言う事です。
Q値・C値・延床面積はわかると思います。
問題は日射取得量です。
こればかりは、何らかのソフトを使わなければ導き出せないと思われます。
ただ感覚として知っておくと非常に便利なのが、日射取得量が内部発熱量(延床面積×2.1)の何倍くらいになるかという目安です。
この倍率は、その地域の日射量・設計における南側の窓面積・隣家との離隔距離などによって大きく変わります。
おおよそですが、かなり日射取得量が少ない場合で1倍くらい。
その逆に極めて多い場合で6倍くらいになるそうです。
では、早速比較してみましょう。
便宜的に
Q値=2W/㎡・K
C値=1㎠/㎡
延床面積=100㎡
とし、日射取得量を3.8倍と2.0倍で比較してみます。
まずは日射取得量が内部発熱量の3.8倍の場合です。
(3.8×(100×2.1)+(100×2.1))÷((2.0+1/13)×100)=4.85℃
東京の場合1月の平均外気温は6.1℃ですから、この住宅では無暖房でも6.1℃+4.85℃=10.95℃の平均室温を保つことが出来る事がわかります。
次に日射取得量が内部発熱量の2.0倍の場合です。
(2.0×(100×2.1)+(100×2.1))÷((2.0+1/13)×100)=3.03℃
この住宅では無暖房でも6.1℃+3.03℃=9.13℃の平均室温を保つことが出来る事がわかります。
日射取得量による違いはおよそ1.8℃になります。
さらに日射取得量が内部発熱量の2.0倍の家のQ値・C値を変えて比較してみましょう。
Q値・C値をそれぞれ、2.7W/㎡・K・3.0㎠/㎡にした場合は
(2.0×(100×2.1)+(100×2.1))÷((2.7+3/13)×100)=2.14℃
となります。
弊社の平均的な値Q値1.9W/㎡・K・C値0.3㎠/㎡にした場合も算出してみました。
(2.0×(100×2.1)+(100×2.1))÷((1.9+0.3/13)×100)=3.27℃
その時の自然温度差はおよそ1.1℃。
日射取得量を増やすのも効果的ですが、断熱性能と気密性能を高めることも大切です。
こんな感じのマニアックなネタが多い本ではありますが、住宅建設従事者にとっては『痒いところに手が届く』一冊でもあります。
その反面、一般の方がこの本を手にして勉強したら・・・。
と思うと怖くなる一冊でもあります。
とにかく、徹底的に読み解き、モノにしなければならない一冊であることは間違いありませんね。
posted by Hoppy Red
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